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税理士の財務コンサル。税務顧問との違いを解説

大山 俊郎
監修者 大山 俊郎

大山俊郎税理士事務所
代表:大山俊郎(おおやま としろう)

中小企業の現場と経営に携わった経験を活かし、税務と利益最大化をサポート。
著書『SWOT分析を活用した【根拠ある経営計画書】事例集』も好評発売中!

近畿税理士会所属 税理士番号:127208
DREAM GATE認定アドバイザー
https://profile.dreamgate.gr.jp/consul/pro/oyamatax

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税理士の財務コンサル。税務顧問との違いを解説

税理士の財務コンサルとは?税務顧問との違い

「税理士 財務コンサル」と検索されたということは、今お付き合いのある顧問税理士に、もう少し踏み込んだ「財務」の相談、例えば資金調達や融資支援、事業計画のことまで任せて良いものか、悩んでいるかもしれませんね。

 

「税務顧問」の業務と「財務コンサル」の業務内容の違いが曖昧だったり、費用や相場感がわからなかったり。

 

そもそも、税理士なら誰でも財務コンサルができるのか、スキル不足や「名ばかりコンサル」だったらどうしよう、といった不安もあるかと思います。

あるいは、公認会計士や中小企業診断士との違いは何か、と迷われているかもしれません。

 

私自身も税理士として、そうした経営者の方々の疑問に日々接しています。

この記事では、税理士が関わる財務コンサルティングの実態について、できるだけ分かりやすく整理してみたいと思います。

 

  • 従来の「税務顧問」と「財務コンサル」の決定的な違い
  • 税理士に財務コンサルを依頼する真のメリットとリスク
  • 気になる費用相場と、顧問料との関係性
  • 失敗しない専門家を見極めるための具体的な基準

税理士の財務コンサル、その違いと実態

「税理士」と一括りにされがちですが、その業務内容は多岐にわたります。

 

特に「税務」と「財務コンサル」は似ているようで、実は中身が大きく異なります。

その違いと、税理士に依頼する際のメリットやリスクについて見ていきましょう。

税務顧問と財務コンサルの決定的な違い

一番分かりやすい違いは、「時間の矢印がどこを向いているか」かなと思います。

多くの経営者の方がイメージする従来の「税務顧問」の主な仕事は、「過去」の数字を扱うことです。

 

日々の記帳が正しいかチェックし、月次の試算表を作成し、そして年に一度、決算書と税務申告書を作成・提出する。

これらは、「過去に行われた経済活動を、税法に則って正しく集計・報告する」業務ですね。

 

一方、「財務コンサルティング」が扱うのは、主に「未来」です。

 

税務顧問が作成した「過去」の決算書や試算表という実データを分析し、そこから見えてくる経営課題(例:資金繰りが苦しい、利益が出ているのにお金が残らない)に対して、「これからどう対策していくか」を一緒に考え、実行を支援する業務です。

 

「税務顧問」と「財務コンサル」の主な違い

項目 税務顧問(従来型) 財務コンサルティング
時間の視点 過去(決算・申告) 未来(計画・実行支援)
主な業務 税務申告、記帳代行、節税対策 資金繰り改善、融資支援、財務戦略
求められるスキル 正確な税務・会計知識 経営分析力、銀行交渉力、予測能力

このように、同じ「会計」を扱っていても、その目的とスキルセットがかなり異なるんですね。

税理士に依頼する最大のメリット

では、あえて外部のコンサルタントではなく、税理士に財務コンサルを依頼するメリットはどこにあるのでしょうか。

 

それは何と言っても、「日々の正確な会計データ(実データ)に基づいてアドバイスできる」点に尽きると思います。

 

財務コンサルを名乗る人の中には、理論や一般論だけでアドバイスをするケースもゼロではありません。

ですが、顧問税理士は、あなたの会社の「日々のリアルな数字」を誰よりも把握しています。

 

この「実データ」に基づいているからこそ、

 

  • 銀行評価を意識した、現実的な資金調達案
  • 税務リスクを考慮した、無理のない投資計画
  • 現状の数字から導き出される、具体的な資金繰り改善策

 

といった、机上の空論ではない、地に足のついた戦略を立案できる可能性が高い。これが最大の強みかなと思います。

税理士なら誰でもできる?「名ばかり」リスク

ここが、経営者の方が一番注意すべき点です。

 

先ほど説明した通り、「税務」と「財務コンサル」では求められるスキルセットが異なります。

税務申告を正確に行うスキルと、銀行を納得させる事業計画書を作成するスキルは、イコールではありません。

 

結論から言うと、「税理士資格があるから、誰でも優れた財務コンサルができる」わけではない、と私は考えています。

注意:スキル不足と「名ばかりコンサル」

残念ながら、「財務コンサルもやります」と掲げていても、実態は従来の税務顧問の延長線上で、具体的な未来へのアクション支援までは手が回っていないケースも見受けられます。

税務知識だけでなく、経営やマーケティングの視点、そして何より金融機関の考え方への深い理解がないと、実効性のある財務コンサルは難しいんですね。

この「税理士による能力差」こそが、依頼する側にとっての最大のリスクと言えるかもしれません。

財務コンサルの具体的な業務内容

では、スキルを持った税理士が提供する「財務コンサル」とは、具体的に何をしてくれるのでしょうか。

 

事務所によって様々ですが、主に以下のような業務が挙げられます。

  • 財務戦略の構築・実行支援 「なんとなく経営」から脱却し、数字に基づいた経営計画(予算)を作成し、毎月その進捗(PDCA)を一緒に管理していきます。
  • 資金調達(融資)支援 銀行が「これなら貸したい」と思うような、説得力のある事業計画書や資金繰り表の作成をサポートします。
  • 金融機関対応(銀行交渉) 単に書類を作るだけでなく、銀行との面談に同席したり、日々の銀行との関係構築についてアドバイスしたりします。

これらはすべて「未来」に向けたアクションであることが分かるかと思います。

公認会計士や中小企業診断士との違い

「財務の相談」というと、他の専門家も思い浮かびますよね。

  • 公認会計士:主な仕事は上場企業などの「監査」です。税理士登録もできるので税務も行えますが、中小企業の財務コンサルをメインにしている方は、税理士に比べると少ない印象です。
  • 中小企業診断士:経営全般(財務、マーケティング、人事など)のコンサルタントです。財務に強い方も多いですが、税理士と違って「税務申告の代行」はできません。

税理士が財務コンサルを担う強みは、やはり「日々の会計」と「税務申告」と「財務戦略」を、一人のパートナーが一気通貫で(実データに基づいて)見られる点にあるかなと思います。

失敗しない税理士の財務コンサル選び

では、その「スキルを持った」税理士をどう見極めれば良いのでしょうか。

残念ながら「税理士 財務コンサル」と検索するだけでは、その実力は見えにくいものです。

 

ここでは、選定基準と費用について深掘りします。

税理士の財務コンサル 費用の相場

まず、費用の考え方です。これには大きく2パターンあります。

 

  1. 専門の財務コンサルティング会社に依頼する場合 これは、月額数十万円(インプット情報にあった「月30~60万円」など)と、かなり高額になるケースが多いようです。
  2. 税理士に追加サービスとして依頼する場合 こちらは、事務所によって料金体系が本当にバラバラです。

 

税理士に依頼する場合の料金パターン例

  • 月額顧問料+α型:現在の税務顧問料に、月額数万円~十数万円(例:+5万~15万円)を上乗せする。
  • 成功報酬型:融資が成功した場合など、調達額の数%(例:2~5%)を支払う。
  • プロジェクト型:事業計画書作成で1回20万円、など業務単位で費用が発生する。

※あくまで一般的な目安です。金額は業務の難易度や会社の規模によりますので、必ず事前に見積もりを取ってください。

料金体系と顧問料との「切り分け」

今、顧問税理士がいる場合に一番大事なのは、「どこまでが税務顧問料の範囲で、どこからが財務コンサルの追加費用か」という「切り分け」を明確にすることです。

 

「ちょっと資金繰りの相談」くらいなら顧問料の範囲内かもしれませんが、「銀行提出用の詳細な事業計画書を作成して、面談にも同席してほしい」となれば、ほぼ確実に追加費用が発生するはずです。

 

この「切り分け」が曖昧なまま進むと、後で「こんなはずじゃなかった」というトラブルになりかねません。

必ず事前に業務範囲と料金を書面で確認しましょう。

失敗しないための選定基準

「料金が安いから」という理由だけで選ぶのは、先ほどの「名ばかりコンサル」のリスクを考えると危険かもしれません。

 

スキルを見極めるには、以下の点が重要だと思います。

 

  • 「銀行が評価するポイント」を熟知しているか 「銀行との関係性が強い」とは、単に「銀行員と飲み友達」という意味ではありません。「銀行が融資審査でどこを見て、どんな資料をどう評価するか」というロジックを熟知しているか、が本質です。
  • 同規模・同業種の支援実績があるか 特に「資金調達」や「資金繰り改善」といった、具体的な支援実績(守秘義務の範囲で)を聞いてみましょう。
  • PDCA(計画→実行→検証→改善)を回せるか 計画書を作って「はい、終わり」ではなく、その計画がちゃんと実行されているか、毎月一緒にチェックしてくれる体制があるかは非常に重要です。

見極めるための具体的な質問

面談などで、以下のような質問を直接ぶつけてみると良いかもしれません。

 

税理士の「財務コンサル力」を見極める質問例

  • 「銀行に評価される(融資が通りやすい)決算書や試算表のポイントはどこですか?」
  • 「資金繰り改善のために、まず何から着手すべきだと考えますか?」
  • 「過去に、どのような事業計画書を作成して融資を支援したか、事例を教えてもらえますか?」

 

これらの質問に対して、あいまいな一般論ではなく、具体的なロジックやプロセスで答えてくれるかどうか。

そこに、その税理士さんのスキルや経験が表れるかなと思います。

パートナーとしての税理士 財務コンサル

「税務(過去)」と「財務(未来)」は、どちらも会社経営にとって不可欠な両輪です。

 

税務申告を正確に行うのは税理士として当然の義務ですが、それだけでは経営者の悩みは解決しません。

その先の、数字に基づいた未来の戦略(財務コンサル)を一緒に考え、経営者の孤独な意思決定を支える「パートナー」

 

それが、これからの時代に求められる「税理士の財務コンサル」の姿だと私は強く思います。

最終的なご判断の前に

この記事でお伝えした業務内容や費用相場は、あくまで一般的な目安です。

 

最終的なご判断は、必ず複数の専門家と直接お会いして、ご自身の会社の状況やビジョンを話し、「この人なら信頼できる」と思えるパートナーかどうかを、ご自身で見極めていただくことをお勧めします。

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    大山 俊郎

    大山俊郎税理士事務所代表税理士

    同志社大学商学部卒業後
    父が経営する年商50億の会社へ入社

    二代目経営者として
    現場での下積みから
    会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事

    特に
    ・銀行との交渉
    ・経理の改善
    ・資金繰り
    ・事業承継の対策
    などに尽力

    ある親族との同族問題で自社の株式
    を売却をした経験から
    「会社のヒト・モノ・カネの管理は
    会社と経営者一族の運命を左右する」
    ことを痛感

    日本随一の
    「同族会社経営を経験した税理士」
    として事務所を開設し
    「会社にお金を残す節税マニュアル」
    を開発
    全国の同族会社の経営者・法人経営者
    向けに「会社を強くする仕組み作り」
    を指導

    大山俊郎のプロフィール

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