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【子ども手当図鑑】2025年最新版・もらえるのは1つじゃない。

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お子さんのいる家庭で、どの手当を受け取れるのか迷っていませんか?

育児や介護には日々費用がかかりますので、支援制度があっても内容がわかりづらいと困ってしまいますよね。

結論としては、手当の制度は「どれか1つ」ではなく、複数を併用できるケースが多くあります

中には、「この手当をもらっているなら、他はダメだろう」と早合点してしまい、本来もらえる支援を見落としている方も少なくありません。

特に、障害のあるお子さんを育てている場合や、ひとり親世帯などでは、それぞれに対応する制度が異なっているため、正しく理解した上で申請を進めることが非常に大切です

実は、支援制度の併給について「なんとなく」で判断し、申請のチャンスを逃してしまう方が非常に多く見受けられます。

制度の中には、所得制限があったり、支給タイミングが年数回に限られたりと、注意すべき点も少なくありません。

もし、制度の理解不足によって本来受け取れる支援を逃してしまうと、あとから取り戻すのが難しいケースもあります。

この記事を通して、子どもと家族を支える主要な4つの手当制度について、多くの方に正しく知っていただければと思います。

今回は、「児童手当」「児童扶養手当」「特別児童扶養手当」「障害児福祉手当」の内容と違い、併給の可否、申請時の注意点までをわかりやすく整理して解説します。

具体的には、以下の流れでご紹介していきます。

 

この記事でわかること

この記事を読めば、複雑に見える手当制度の違いと併給の仕組みがよくわかります。

それぞれの制度については、専門機関のリンクでの補足を予定しています。

 

第1章|まず押さえたい|家族を支える4つの公的給付

子育てや障がいのあるお子さんの養育は、家庭にとって精神的・経済的な負担が大きくなることも少なくありません。

そうした中で、公的な手当制度は“生活の土台を守る支え”として重要な役割を果たしています。

現在、日本には子どもの成長や障害への対応を目的とした手当制度が複数存在しており、そのうち特に活用が多いのが以下の4つです。

  • 児童手当

  • 児童扶養手当

  • 特別児童扶養手当

  • 障害児福祉手当

これらの制度は、対象となる子どもの年齢・障害の有無・世帯状況によって適用範囲が大きく異なるため、内容を整理して理解しておくことがとても重要です。

また、「1つしかもらえない」と誤解されがちですが、制度によっては複数の手当を同時に受け取れる併給パターンも存在します。

反対に、「障害年金を受給していると併給できない手当」もあるため、制度同士の関係性をきちんと把握しておく必要があります。

この章では、まず4つの制度の全体像を簡単に整理し、「どんな目的で、どんな家庭が対象になるのか?」をつかんでいきましょう。

 

📌 4制度の位置づけイメージ(簡易マトリクス)

手当名 対象となる子ども 世帯状況 支援の焦点
児童手当 0〜18歳未満 すべての家庭 基本的な子育て支援
児童扶養手当 18歳未満(障害児は20歳未満) ひとり親世帯等 生活基盤の安定
特別児童扶養手当 20歳未満の中度〜重度障害児 全家庭 障害に伴う養育支援
障害児福祉手当 20歳未満の重度障害児 全家庭 常時介護の負担軽減

このあと、第2章では、それぞれの手当について「支給対象」「金額」「支給時期」「所得制限」などの具体的な条件を詳しく見ていきます。

第2章|制度ごとの基本情報を整理する

ここでは、先ほどご紹介した4つの主要手当について、支給条件や金額、支給スケジュールなどの具体的な内容を個別に見ていきます。

各制度は一見似ていても、支援の目的・対象年齢・金額・制限条件が大きく異なっているため、「どの家庭が何を受け取れるのか」を明確に把握することが重要です。

まずは、制度の違いが一目で分かるよう、一覧表で比較してみましょう。


📊 主要4制度の比較表(2025年版)

制度名 対象となる子ども 月額支給額 支給時期 所得制限
児童手当 0歳〜18歳の年度末まで 3歳未満:15,000円
3歳以上:10,000円
※第3子以降は30,000円
偶数月(2・4・6・8・10・12月) なし(2024年10月より撤廃)
児童扶養手当 18歳未満(障害がある場合は20歳未満)の児童を養育するひとり親家庭 第1子:最大46,690円
第2子:加算最大11,030円
第3子以降:同左
奇数月(年6回) あり(扶養人数で調整)
特別児童扶養手当 20歳未満で中度以上の障害のある子ども 1級:56,800円
2級:37,830円
年3回(4・8・12月) あり
障害児福祉手当 20歳未満で重度の障害があり、常時介護が必要 16,100円 年4回(2・5・8・11月) あり(世帯全体で審査)

それぞれの制度について、もう少し詳しく見ていきましょう。

◆ 児童手当

基本的な子育て支援制度

すべての家庭が対象となり、所得制限は2024年10月に完全撤廃されました。

3人目以降の加算額が大幅に高いため、子どもが多い家庭ほど恩恵が大きい仕組みです。

◆ 児童扶養手当

ひとり親世帯を対象とした生活支援制度

離婚・死別・未婚により片親となった家庭や、配偶者に重い障害がある場合なども対象に含まれます。

所得制限があるため、扶養人数ごとの条件確認が必須です。

◆ 特別児童扶養手当

中度以上の障害がある子どもを育てる家庭に支給される制度

障害の程度に応じて「1級」と「2級」で支給額が分かれています。

年3回支給でまとまった額が振り込まれます。

◆ 障害児福祉手当

常時の介護が必要な重度障害児に対して支給される福祉手当

他の制度より金額は控えめですが、年4回に分けて安定的に支給されます。

障害年金との併給は不可である点に注意が必要です。

次章では、これらの制度が「併給できるのか/できないのか」をテーマに、重複受給の可否や条件を整理していきます。

 

 

第3章|併給のルールと注意点

複数の制度が存在する中で、特に多くの方が気になるのが「この手当とあの手当、同時にもらえるのか?」という併給の可否です。

結論から言うと、制度によっては併給が可能なものと、法律上できないものが存在します

とくに、障害年金と障害を理由とした手当との関係は非常に複雑で、誤解されやすいポイントです。

ここでは、主要4手当と障害年金の組み合わせについて、実際にどの制度同士が重複できるかどうかを一覧表にまとめました。

📊 併給の可否|早見表(2025年版)

手当名\併給先 児童手当 児童扶養手当 特別児童扶養手当 障害児福祉手当 障害年金
児童手当
児童扶養手当 △(※1)
特別児童扶養手当 △(※2) ×(※3)
障害児福祉手当 △(※2) ×(※3)

補足解説

  • ※1:児童扶養手当と障害年金は同時支給されないが、金額の多い方が優先される「併給調整」制度があります。

  • ※2:特別児童扶養手当と障害児福祉手当は併給可能だが、障害の等級や支給対象によって一部制限が発生する場合があります。

  • ※3:障害児福祉手当・特別児童扶養手当はいずれも「障害を理由とする公的年金(例:障害基礎年金)」との併給は不可と法律で定められています。

📌 制度ごとの併給イメージ(例)

  • OKな組み合わせの例:

    • 児童手当 + 児童扶養手当

    • 児童扶養手当 + 特別児童扶養手当

    • 児童手当 + 障害児福祉手当

  • NGとなる組み合わせの例:

    • 障害児福祉手当 + 障害年金

    • 特別児童扶養手当 + 障害年金

重複不可の制度については、「申請しても支給決定されない」だけでなく、申請のタイミングによって不利益を被るケースもあるため、事前に制度の内容を確認し、必要に応じて自治体や専門家へ相談することが大切です。

次章では、これらの制度を実際に利用するためにどこで相談すればよいのか、申請手続きはどう進めるのかを詳しく解説していきます。

 

第4章|申請に進む前に知っておくべきこと

制度の内容や併給のルールが分かっても、実際に手続きを進めるには“どこで何をすればよいか”が分からないという声も多く聞かれます。

この章では、申請先・必要書類・相談窓口など、実務に直結するポイントを整理します。

無駄のないスムーズな申請のためにも、あらかじめ以下の点を確認しておきましょう。

◆ 申請先は基本的に「お住まいの自治体」

すべての手当は国の制度ですが、実際の申請受付や支給管理は市区町村が担当しています。

申請先が異なることは基本的にありませんが、窓口の名称は制度ごとに分かれている場合があります。

手当名 主な窓口名(例)
児童手当 子育て支援課、児童福祉課
児童扶養手当 ひとり親支援窓口、家庭福祉課
特別児童扶養手当 障害福祉課、障害児支援係
障害児福祉手当 障害福祉課、高齢・障害福祉課

📌 申請フローチャート

[申請者]
 ↓
[市区町村の福祉窓口]
 ↓(審査・確認)
[結果通知]
 ↓
[支給開始]

このように、窓口に出向いて申請書類を提出し、審査を経て支給が始まります。手当によっては2〜3か月後に初回振込となる場合もあるため、早めの行動が大切です。

◆ 必要書類は制度によって異なる

多くの手当で共通して必要な書類の例:

  • 本人確認書類(マイナンバーカード、免許証など)

  • 世帯全員分の住民票

  • 所得証明書

  • 振込先の通帳コピーまたはキャッシュカード

  • 障害者手帳や医師の診断書(障害関連手当)

制度ごとに追加書類が求められることもあるため、必ず自治体のホームページや窓口で最新の書類リストを確認してください。

◆ 不安がある場合は専門機関に相談を

申請内容に不安がある場合や、どの制度に該当するか分からない場合は、以下の機関で相談が可能です。

  • お住まいの市区町村役所(福祉課・子育て支援課)

  • 子育て支援センター、母子生活支援施設

  • 障害児相談支援事業所

  • 社会福祉協議会、NPO法人

  • 社会保険労務士や行政書士などの専門家(有料の場合あり)

次章では、制度の使い分け方と活用戦略を踏まえて、「まとめ」として制度全体の考え方と賢い選択の視点をお伝えします。

 

ありがとうございます。
それでは最終章、「第5章|まとめ|制度は『知って・比べて・選ぶ』もの」をお届けします。

第5章|まとめ|制度は「知って・比べて・選ぶ」もの

ここまで見てきたように、子育てや障がい児支援に関する手当は、それぞれに目的と対象が異なる別個の制度です。

名前が似ていても、対象となる子どもの年齢や障害の程度、家庭の状況によって適用範囲や支給額、制限条件がまったく違うことが分かっていただけたのではないでしょうか。

さらに重要なのは、手当は「1つを選ぶ」のではなく、「組み合わせて使う」ものであるということです。
制度によっては併給が可能で、上手に申請すればより多くの支援を受け取れる可能性があります。

✅ 制度活用のための3つの視点

  1. 今、対象になっている制度は何か?
     → 子の年齢・障害の有無・家庭構成を基準に整理。

  2. 併給できる手当はあるか?
     → 制度同士の関係を表で確認。NGな組み合わせにも注意。

  3. 支給タイミングや額を把握して生活設計に活かす
     → 奇数月・偶数月・年3回など、支払いスケジュールを念頭に。

✅ 最後に|支援制度は“知っている者勝ち”ではありません

制度の情報は決して秘密ではありません。
むしろ、多くの家庭に届くべきものであり、「知っているかどうか」で受け取れるかが左右されるのは非常に惜しいことです。

この記事が、必要な方に制度の全体像と選び方のヒントを届ける一助となれば幸いです。

支援制度は毎年見直されるため、定期的に情報を更新し、申請を怠らないことが肝要です。
困ったときは、迷わずお住まいの自治体や専門窓口に相談してください。

▶ ご相談・情報確認に役立つ窓口

  • 市区町村役所(子育て支援・障害福祉課)

  • 厚生労働省公式サイト(手当名で検索)

  • 社会保険労務士・行政書士などの専門家

  • 子育て支援センター・地域包括支援センター

大山 俊郎

大山俊郎税理士事務所代表税理士

同志社大学商学部卒業後
父が経営する年商50億の会社へ入社

二代目経営者として
現場での下積みから
会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事

特に
・銀行との交渉
・経理の改善
・資金繰り
・事業承継の対策
などに尽力

ある親族との同族問題で自社の株式
を売却をした経験から
「会社のヒト・モノ・カネの管理は
会社と経営者一族の運命を左右する」
ことを痛感

日本随一の
「同族会社経営を経験した税理士」
として事務所を開設し
「会社にお金を残す節税マニュアル」
を開発
全国の同族会社の経営者・法人経営者
向けに「会社を強くする仕組み作り」
を指導

大山俊郎のプロフィール

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