設立日で損をしない!税理士が教える会社設立日の”賢い”決め方
「設立日はいつでもいいんですよね?」
そう思っていませんか?
実は、会社設立日の選び方一つで、その後の経営に大きな影響を与えることをご存知でしょうか。
消費税の免税期間が最大11ヶ月短くなったり、初年度の税負担が2倍になったり…。単なる記念日以上の意味を持つ「設立日」。税金の計算の起点となり、許認可の申請にも関わってくる重要な日付なのです。
年間100件以上の会社設立に携わってきた税理士事務所として、数多くの経営者から相談を受けてきました。その中で見えてきたのは、設立日の選び方で後悔するケースが驚くほど多いという事実です。
縁起のいい日を選びたい気持ちはわかります。でも、その前に知っておくべき重要なポイントがあります。
この記事では、経営者としての第一歭を踏み出すあなたに、後悔しない設立日の選び方を、実例とともにご紹介します。創業期の経営判断に大きく影響する「設立日」。その重要性を、ぜひ知っておいてください。
1.設立日を変えるだけで6,600円!知らないと損する3つの真実
たった1日ずらすだけで節税できる理由
会社の設立日を月初1日から2日以降にずらすだけで、法人住民税の均等割を1ヶ月分節約できます。
なぜこのようなことが可能なのでしょうか。
法人住民税の均等割は、月割り計算で課税される仕組みになっているためです。
会社設立の月に1日でも空いている日があれば、その月は課税対象外となります。
例えば、4月1日に会社を設立すると、4月分から課税対象となります。一方で、4月2日に設立すれば、4月分は課税対象外となり、5月分からの課税となります。
ただし、税務署への届出や社会保険の手続きなど、他の重要な手続きのタイミングも考慮する必要があります。設立日を単純に2日以降にずらせばいいというわけではありません。
実際の例を見てみましょう。
IT企業を設立したAさんは、当初4月1日での設立を考えていました。
しかし、税理士に相談したところ、4月5日に設立日を変更。均等割の節約に加えて、社会保険の加入手続きにも余裕を持って対応できました。
もちろん、事業開始のタイミングや取引先との関係で、どうしても月初での設立が必要なケースもあります。
設立日の決定は、税金面だけでなく、事業全体の状況を踏まえて判断することが大切です。
消費税の免税期間が11ヶ月短くなる落とし穴
会社設立日の選び方によって、消費税の免税期間が最大11ヶ月も短くなってしまう可能性があります。
多くの経営者が見落としがちなのが、設立事業年度の期間と消費税の関係です。通常、会社設立後2年間は消費税が免除される特例がありますが、この「2年間」の計算方法には注意が必要です。
例えば、3月決算で9月1日に会社を設立した場合、最初の事業年度は7ヶ月間(9月1日~3月31日)となります。次の事業年度からは4月1日~3月31日の1年間となりますが、この場合、消費税の免税期間は「設立から1年と7ヶ月後」に終了してしまいます。
一方で、4月1日に設立すれば、最初から1年間の事業年度となるため、丸2年間の免税期間を確保できます。
実際の相談事例を見てみましょう。美容室を開業したBさんは、9月1日に会社を設立。2年目の10月に突然、税務署から「来年度から消費税の課税事業者になる」との連絡を受け、資金繰りに苦労することになりました。
ただし、事業計画や資金繰りの都合で、必ずしも決算期に合わせた設立ができない場合もあります。そのような場合は、早めに税理士に相談し、消費税の納税に向けた準備を始めることをお勧めします。
このように、設立日の選び方一つで、消費税の免税期間に大きな違いが生まれます。開業後の資金繰りを考える上で、非常に重要なポイントとなるでしょう。
決算期との相性で税負担が2倍になるケースも
設立日と事業年度の組み合わせが、消費税の免税期間に大きく影響します。
会社設立後の消費税免税期間は基本的に2年間です。しかし、設立日の選び方を誤ると、この期間が最大11ヶ月も短くなってしまう可能性があります。
具体的に説明しましょう。8月末決算の会社を例に考えてみます。
8月1日に設立した場合:
第1期:8月1日~8月31日(1ヶ月)
第2期:9月1日~8月31日(12ヶ月)
第3期:9月1日から課税事業者に
9月1日に設立した場合:
第1期:9月1日~8月31日(12ヶ月)
第2期:9月1日~8月31日(12ヶ月)
第3期:9月1日から課税事業者に
このように、同じ8月末決算でも、8月1日設立と9月1日設立では、実質的な免税期間に11ヶ月もの差が生じます。
そのため、8月決算の会社であれば、設立日は9月1日以降にすることをお勧めします。
できれば9月上旬(9月10日など)の設立が望ましいでしょう。
ただし、事業計画や取引先との関係で、必ずしも理想的な設立日が選べない場合もあります。そのような場合は、税理士と相談しながら、消費税の納税に向けた準備を早めに始めることが大切です。
設立時期の選択一つで、消費税の免税期間が大きく変わります。開業後の資金繰りに直結する重要な判断となるため, 慎重に検討しましょう。
消費税の免税機関についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
【消費税増税対策】500万円が「免除」に!極秘の内容を税理士が解説!
2. 100件の設立相談から見えた!後悔しない設立日の選び方
サラリーマンが独立する場合の最適な設定方法
退職日から設立日までの期間設定が、独立後の資金繰りを大きく左右します。
サラリーマンが独立する場合、退職日の翌日に会社を設立したくなるものです。しかし、実務上はいくつかの重要な検討事項があります。
例えば、雇用保険の失業給付を受給する場合、原則として退職日から7日間は給付制限期間となります。また、会社設立後は失業給付を受けられなくなるため、この期間をどう活用するかが重要です。
一方で、退職日から設立日までの期間が空きすぎると、健康保険や年金の継続手続きに影響が出る可能性があります。退職後の保険料負担を考えると、1ヶ月以内の設立が望ましいケースが多いでしょう。
実際の例を見てみましょう。IT企業に勤めていたAさんは、3月末で退職し、4月20日に会社を設立しました。この間に、失業給付の手続き、開業の準備、取引先との打ち合わせなどを行い、スムーズな独立を実現できました。
ただし、業種や独立の形態によって最適な期間は異なります。許認可が必要な業種の場合は、手続きにかかる時間も考慮する必要があります。
以上のポイントを踏まえ、具体的なスケジュールを立てることをお勧めします。不安な点があれば、社会保険労務士や税理士に相談しながら進めることで、安心して独立の一歩を踏み出せます。
業種別・許認可までの具体的な逆算スケジュール
許認可が必要な業種の場合、設立日から事業開始までの期間を慎重に見積もる必要があります。
飲食店の場合:
設立日から保健所申請まで:約1週間(登記簿謄本取得のため)
保健所の審査期間:約2週間
設備工事・内装工事:約1ヶ月
→ 合計で約2ヶ月の準備期間が必要
不動産業の場合:
設立日から宅建業免許申請まで:約2週間
免許審査期間:約2ヶ月
事務所整備・従業員研修:約2週間
→ 合計で約3ヶ月の準備期間が必要
建設業の場合:
設立日から許可申請まで:約1ヶ月(技術者の雇用実績必要)
許可審査期間:約3ヶ月
各種保証協会加入手続き:約2週間
→ 合計で約4.5ヶ月の準備期間が必要
ここで注意が必要なのは、許認可申請に必要な登記簿謄本は設立日から数日後でないと取得できない点です。
また、許認可の審査中も家賃や人件費などの固定費は発生します。
このため、設立日は許認可取得までの期間を考慮し、余裕を持って設定することをお勧めします。特に資金繰りの観点から、固定費の発生時期には注意が必要です。
一方で、あまり早く設立してしまうと、前述の消費税の免税期間にも影響が出てきます。
許認可のスケジュールと税務上の最適化を両立させる工夫が求められます。
実際の経営者が選んだ設立日とその理由
実務において、経営者はさまざまな観点から設立日を選択しています。いくつかの実例をご紹介します。
IT企業のAさんの場合:
4月1日設立を選択。元々の勤務先が3月末決算で、取引先も同様の会社が多かったため、事業年度を合わせることで取引がスムーズになりました。また、新年度のタイミングで新規案件も獲得しやすかったとのことです。
不動産会社のBさんの場合:
10月2日設立を選択。9月末決算の会社設立を考えていましたが、税理士のアドバイスにより、均等割の節約のため月初を避けました。宅建業の免許申請も考慮し、年内の事業開始に向けて逆算した結果です。
飲食店経営のCさんの場合:
7月10日設立を選択。夏季の繁忙期に向けて開業準備を進めるため、保健所の許可取得期間を考慮してこの日程に。開業時期と消費税の免税期間を最適化できました。
ただし、全ての経営者が理想的な設立日を選べるわけではありません。Dさんは大口の受注が決まったため、準備期間を短縮して設立を急いだといいます。
このように、設立日の選択には「税務」「許認可」「商機」「取引先」など、複数の要素が関係します。一つの正解ではなく、各社の状況に応じた最適解を見つけることが大切です。
3.明日からできる!設立日決定の3ステップ
STEP1:事業開始予定日から逆算する
事業開始の予定日から設立日を決めていく方法が、最も実践的なアプローチです。
まずは、具体的な事業開始時期を明確にしましょう。例えば、小売店なら「年末商戦に向けて11月オープン」、飲食店なら「花見シーズンに向けて3月オープン」といった具合です。
次に、業種ごとに必要な準備期間を洗い出します。
内装工事:1~2ヶ月
従業員の採用・研修:1~2ヶ月
仕入先との契約:2週間~1ヶ月
販促物の準備:2週間~1ヶ月
さらに、許認可が必要な業種の場合は審査期間も考慮します。
飲食店の営業許可:約2週間
古物商許可:約1ヶ月
建設業許可:約3ヶ月
実際の例を見てみましょう。11月オープン予定のアパレルショップの場合、以下のような逆算になります。
11月1日:オープン
10月:内装工事、スタッフ研修
9月:商品仕入、販促準備
8月15日:設立日
ただし、この日程で本当に良いのか、税務面での影響も確認する必要があります。次のSTEPで、その点を詳しく検討していきましょう。
STEP2:税金の影響を確認する
STEP1で検討した設立日案について、税務面での影響を確認していきます。
まず確認すべきは決算期との関係です。
事業開始予定が11月で、3月決算を予定している場合:
10月設立→第1期は6ヶ月の変則決算
11月設立→第1期は5ヶ月の変則決算
4月設立→第1期は12ヶ月の通常決算
次に消費税の免税期間を検討します。3月決算の場合:
10月設立→免税期間は1年6ヶ月
4月設立→免税期間は2年間フル活用可能
住民税の均等割も考慮が必要です。
1日設立→その月から課税
2日以降設立→翌月から課税
例えば、当初10月1日で検討していた設立日を10月2日に変更するだけで、1ヶ月分の均等割が節約できます。
また、設立初年度に想定される売上規模によって、消費税の課税事業者となるタイミングも変わってきます。年間売上1,000万円を超える可能性がある場合は、特に慎重な検討が必要です。
ここまでの検討で、税務面から見た最適な設立日が見えてきたはずです。次のSTEPでは、許認可の要件も加味して、最終的な設立日を決定していきましょう。
STEP3:許認可のタイミングを組み込む
許認可の申請には法人の登記簿謄本が必要です。登記完了から謄本取得まで数日かかるため、この期間も考慮に入れましょう。
許認可申請の基本的な流れを確認します。
設立登記申請:1~2日
登記完了まで:約2週間
登記簿謄本取得:2~3日
許認可申請:1日
許認可取得まで:業種により2週間~3ヶ月
例えば、美容室の開業を考えてみましょう。
保健所の審査:約2週間
美容師免許の確認:約1週間
設備検査:約1週間
つまり、設立日から約1.5ヶ月は許認可取得のために必要となります。
ここで注意したいのが賃貸借契約のタイミングです。許認可の審査中でも家賃は発生します。しかし、早すぎる契約は経費の無駄になりかねません。
前出のSTEP1、2で検討した日程案に、この許認可取得期間を組み込んでいきましょう。月初に近い日を避けつつ、かつ許認可取得に十分な期間を確保できる設立日を選ぶのがポイントです。
最後に、すべての要素を組み合わせた具体的なスケジュール表を作成します。これにより、設立日の妥当性を再確認できます。思わぬ手続きの遅れや、予期せぬ事態にも対応できる余裕を持たせることが大切です。
会社設立の基本:設立日はいつになるのでしょう?
会社の設立日とは、法務局に登記申請を行った日のことです。登記簿謄本ができた日ではありません。
ただし、土日祝日は法務局が休みのため、設立日にすることはできません。郵送で申請する場合は、法務局に書類が届いた日が設立日となります。
実際の経営者はどう決めているのか
設立日の決め方は、経営者によってさまざまです。
例えば:
- 「できるだけ早く」と具体的な日付を決めない方法
- 退職予定日の翌日を設定
- 取引先の締め日に合わせる
- 具体的な日付を決めずに準備を進める
特にサラリーマンからの独立の場合、退職日から1ヶ月以内の設立が多く見られます。これは、生活リズムを維持しながらスムーズに事業を開始するためです。
おすすめの設立日の選び方3パターン
一般的におすすめの設立日には、以下の3つのパターンがあります:
- 縁起のいい日を選ぶ
- 大安
- 一粒万倍日 ※ただし、土日祝を除くと月に3日程度しか選択肢がありません
- 記念日と合わせる
- 誕生日
- クリスマス
- バレンタインデー
- 区切りの良い日を選ぶ
- 月初め(1日)
- 月の区切りとなる日(10日、15日など)
ただし、これらの日付を選ぶ際は、前述の税務上の影響や許認可の期間なども考慮する必要があります。単に記念日としての意味だけでなく、実務的な影響も踏まえて判断することが大切です。
このように、設立日の選び方には様々な考え方があります。最終的には、あなたの事業計画や生活環境に合わせて、最適な日を選んでいきましょう。
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大山 俊郎
大山俊郎税理士事務所代表税理士
同志社大学商学部卒業後
父が経営する年商50億の会社へ入社
二代目経営者として
現場での下積みから
会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事
特に
・銀行との交渉
・経理の改善
・資金繰り
・事業承継の対策
などに尽力
ある親族との同族問題で自社の株式
を売却をした経験から
「会社のヒト・モノ・カネの管理は
会社と経営者一族の運命を左右する」
ことを痛感
日本随一の
「同族会社経営を経験した税理士」
として事務所を開設し
「会社にお金を残す節税マニュアル」
を開発
全国の同族会社の経営者・法人経営者
向けに「会社を強くする仕組み作り」
を指導