大阪の創業融資で「1か所」だけの申込みはNG!正しい対策を解説
大阪で創業融資を受けるにはどのような方法が一番いいのか、悩んでいませんか?
創業にはタイミングというのもありますので「ゆっくり勉強してから行動」というわけにもいきませんよね。
もしかしたら、これまで従業員として働いていた人にとっては「融資」という言葉自体に『なじみ』がなく、まずは知識ゼロでも相談できる場所が欲しいかも知れません。
結論としては、大阪での創業を考えているあなたにとって、金融機関としては、日本政策金融公庫と民間の金融機関が現実的な選択肢となります。
日本政策金融公庫だけでなく、民間の金融機関も公的保証機関と連携することで(通常は融資が出しにくい)創業者向けの融資を取り扱っているわけです。
これにより、創業者にとっては融資相談先が確保しやすくなっています。
実は、創業融資を最初から最後まで自分や周りの経営者に聞いた情報だけでやろうとする人が後を絶ちません。
創業融資は何となく自分でやってみることができるので、よく考えずに手続きを進めて不利な条件で創業してしまうことに注意が必要です。
もしも創業融資を自分でやって資料作成や面談の際に誤った対応をしてしまうと、その後にプロに相談してもリカバリーが不可能なケースが多いのです。
この記事を通して、大阪で創業融資を検討しているあなたに、利用可能な融資制度の比較や大阪府独自の創業支援策について詳しく解説していきます。
大阪でのビジネス立ち上げに必要な創業融資の情報を知りたい方は、是非ともお読みください。
1 大阪府の創業支援:2つの主な融資制度
大阪府での創業を考えている方向けの制度が2つあります。
日本政策金融公庫の「新規開業資金」と、大阪信用保証協会が提供する「開業サポート資金」の2つです。
1:創業融資を取り扱う機関とその概要
・日本政策金融公庫(新規開業資金)
【概要】
・国による100%出資で設立された公的金融機関
・個人事業主や中小企業の創業者に対する融資支援を行う
・大阪信用保証協会(開業サポート資金)
【概要】
・大阪の中小企業向け融資に関して、金融機関の債権を保証する公的機関
・大阪府から委託をうけ、創業向けの制度である「開業サポート資金」の保証業務を担う
2:日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国内各地に支店を展開する公的金融機関で、個人事業主や中小企業への融資に特化しています。
民間金融機関と異なり、信用保証協会への保証依頼は不要で、一か所での審査が完了するのが大きな特色です。
3:大阪信用保証協会
大阪信用保証協会は、銀行などのいわゆる金融機関ではありません。
ですが公的な保証機関として民間の銀行などの債権の保証をします。
その保証のもと、実際の融資は銀行などの金融機関が行います。
そのため実績がどうしても不足する創業者や回収不能になるリスクが高まるケースでも、創業者にとっては融資を得やすくなります。
4:2つの制度の違い
2つの創業融資制度は、いずれも公的機関が提供する融資ですが、仕組みが異なります。
そのため、条件や手順もそれぞれ異なるのです。
各制度の特徴を正確に理解し、自分のニーズに最適な創業融資制度を選んで活用しましょう。
2 日本政策金融公庫 vs 大阪信用保証協会どちらを選ぶ?
1:日本政策金融公庫
日本政策金融公庫では、無担保で融資を受けることが可能です。法人であれば代表者の連帯保証も不要です。
また、申し込みから審査までを公庫内で一貫して対応できるので、大阪信用保証協会と比較して融資の実行(入金)が迅速です。
ただし、金利は大阪信用保証協会よりも高めに設定されています。
2:大阪信用保証協会
大阪信用保証協会では、日本政策金融公庫よりも低い金利で資金を借り入れることができます。運転資金であっても長期での返済が可能です。しかしその反面、融資を受ける際には信用保証協会への保証料の支払いが必要となります。
3:2つの制度を使い分ける
創業を考えているあなたにとって、どちらも非常に魅力的な融資制度と言えるでしょう。
どちらが良い・悪いと考えるのではなく、金利、保証の有無、そして必要な資金のタイミングを検討してください。
どちらの制度を利用するか、あるいは両方を組み合わせるかを決定しましょう。
3 大阪信用保証協会に申し込む場合
大阪信用保証協会に申し込む場合は、商工会議所や商工会を利用する方法と、民間金融機関を直接利用する方法の2つがあります。
1:商工会議所や商工会を通じて申し込む場合
商工会議所や商工会を通じて申し込む場合は、創業計画の作成段階で専門家のアドバイスを受けることができます。
初めての創業で不安や疑問がたくさんある場合、創業計画を一緒に練り上げる手助けが得られるのは心強いでしょう。
よって、満を辞して融資の審査に挑みたい場合は、商工会議所や商工会を通じて申し込む方が良いと考えられます。
2:民間金融機関を経由して申し込む場合
対照的に、民間金融機関を経由して申し込みを行う場合は、自ら創業計画を準備する必要があります。
しかしその分、手続きがスピーディーに進む傾向にあります。
自分で創業計画を準備する努力が必要ですが、スピードを重視される場合は商工会議所より民間金融機関に直接申し込む方が良いでしょう。
3:商工会議所と民間金融機関、どちらを選べばいいのか?
どちらの方法を選ぶかは、手厚いサポートを求めるか、迅速な手続きを望むか、あなたがどちらを重視するかによります。
あなた自身の状況をしっかりと見極め、最適な選択をしてください。
4:民間金融機関から申し込む場合の8ステップ
民間金融機関を経由して大阪信用保証協会への申し込みを検討する場合は、以下の手順で進めます。
- まず、民間金融機関へ相談します。
- 自分で作成した融資の申込書類を民間金融機関に提出します。
- 民間金融機関が融資審査を行います。
- その後、金融機関から保証協会に保証の依頼が行われます。
- 保証協会の担当者との面談を設定します。
- 保証協会における審査が進められます。
- 審査結果が良ければ、金融機関と正式に契約を結び、資金が振り込まれます。
- 一部の民間金融機関は創業融資の実績を公表しており、また各々オリジナルの創業融資商品を提供している場合もあります。一見そこまでの差は見えないかもしれませんが、しっかり調べた上で創業融資に積極的な民間金融機関を見極めることをおすすめします。
大阪信用保証協会が取り扱っている「開業サポート資金」の対応金融機関は、同協会の公式サイトで詳細を確認できます。
5:商工会議所から申し込む場合の8ステップ
商工会議所、もしくは商工会経由での大阪信用保証協会の申し込みを考えているなら、以下の手順で進めます。
- 商工会議所を訪問し、専門のアドバイスを受けましょう。
- 専任の担当者と共に、創業計画をしっかりと練り直します。
- 計画が整ったら、商工会議所が推薦する民間金融機関への紹介が行われます。
- 金融機関では、詳細な融資審査が待っています。
- 審査が順調に進むと、金融機関から保証協会へ保証の依頼が行われます。
- その後、保証協会の担当者との面談が設定されます。
- 面談後、保証協会での融資審査が始まります。
- 全ての審査をクリアしたら、金融機関と正式な契約を結び、資金が手に入ります。
なお、創業計画書のサポートを利用するには、商工会議所の会員になることが前提となっています。
会費は概ね、入会費3,000円と年会費15,000円程度ですが、これには経営に関するコンサルティングやビジネスのマッチングサービスも含まれます。
ただし、商工会議所によって支援・サービスの内容は異なるので、入会前に自分が入会を予定している商工会議所の詳細を確認することをおすすめします。
大阪府内の商工会議所や商工会の情報は、大阪府の公式サイトでチェックできます。
4 日本政策金融公庫に申し込む場合
令和5年10月26日時点での情報ですが、日本政策金融公庫は開業前や開業から2期以内の事業者限定で、次の3つの創業融資制度の同時利用を可能としています。
制度名とその概要
1:新規開業資金
創業前または開業後おおむね7年以内の人が対象。
2:新創業融資制度
新規開業資金と併用できる制度。創業前もしくは開業2期目以内なら無担保、無保証人で融資を受けられる制度。ただし、利用するには自己資金要件を満たす必要がある。
3:創業支援貸付利率特例制度
新規開業資金と併用できる制度。創業前もしくは開業2期目以内なら利率を-0.65%低減できる制度。
※雇用の拡大を図る場合は、各融資制度に定める利率から-0.9%低減可能。
創業前や開業から2期目までの間に融資を申し込む場合、日本政策金融公庫の担当者から上記3つの制度の『同時活用』を提案されるパターンが多いです。
・優遇を受けられる場合も
法人として融資を受ける際、代表者の連帯保証を希望すればさらに金利が割引されるので、面談の際はその旨を伝えると良いでしょう。
また他にも特別な金利制度がいくつか存在しており、女性や35歳未満の創業者が該当する場合も。
しかし、日本政策金融公庫の担当者が全ての対象者を正確にチェックできるわけではありません。
自ら公式ウェブサイトで該当条件を確認し、該当する場合は積極的に自分から面談時に申し出ることをおすすめします。
5 日本政策金融公庫と民間金融機関の「協調」融資について
民間金融機関には、日本政策金融公庫との『協調融資商品』を用意しているところもあります。
協調融資とは、一つの事業計画に対して複数の金融機関から資金を借り入れる手法です(連携融資とも言います)。
その場合、たとえば750万円を民間金融機関から、残りの750万円を日本政策金融公庫から調達することが考えられます。
このように資金の調達先を分ける理由は、全額を一か所から調達するリスクを低減させるためです。
創業者であり、また大きな金額の融資を希望する場合は、リスクが高いため金融機関からは敬遠されがちです。
だから資金の調達先を分散することで、創業者も融資を受けられる確率が高くなるのです。
例として、大阪シティ信用金庫の「スタート」、大阪信用金庫と日本政策金融公庫が提供する「ラコンテ」など、様々な銀行が独自の協調融資プランを持っています。
融資の金額に明確な基準は設けられていませんが、一つの金融機関から希望する金額が得られないと感じた場合は、協調融資という選択肢もあります。
融資相談の際に、金融機関の融資担当者に協調融資ができないか相談するのも一つの方法です。
1:創業時の協調融資がもたらす大きなメリット
創業初期の協調融資は、これからのビジネスにおいて資金調達の幅を大きく広げられる、というメリットがあります。
これを知っているか知らないかでビジネスのスタートダッシュから違いが出る、というわけです。
協調融資を行えば、あなたはビジネスのスタート時期から複数の金融機関と取引関係を築き、返済の実績によって信頼を積み上げることができます。
その結果、将来的に追加で融資を受けたいと考えた際に、相談できる相手や選択肢が増えるのです。
特に、卸売業や小売業、建設業といった業種は、先行投資が多いですよね。
だから、創業2〜3期目の売上拡大の際に、資金調達に悩まれる方も少なくありません。
そんな時、借入先が選べる環境をつくっておけば、資金の手配が迅速に進みビジネスチャンスを逃さずスムーズな成長を可能にします。
経営には予期せぬ資金繰りの難しさや、大胆な事業展開によって勝ち取るチャンスなど、様々な未来が待っています。
そんな時、信頼関係が築けている融資の相談先が複数あれば、安心して事業を前に進めることができるでしょう。
2:知らないと後悔する協調融資の落とし穴
協調融資には知っておいてほしい落とし穴もあります。
同時に融資を申請した一方の金融機関で審査が不合格になると、同時にもう片方の金融機関からの融資も難しくなることがあるのです。
協調融資の場合、創業計画は複数の機関からの融資を見込んで策定されています。したがって、一つの機関だけからの融資が実行されることは稀なのです。
そうなると多くの場合は振り出しに戻り、計画の見直し・再審査が必要となってしまいます。
更に、複数の金融機関で連携を取り、融資のタイミングを合わせる作業が必要なため、審査の期間は一般的なものよりも長引くことが多いです。
6 大阪府に特有の創業者サポート
大阪府では様々な創業者サポートが行われていますが、事業の規模や内容に関係なく使える2つのサポート制度を紹介します。
支援制度・施設名と概要
1:小規模企業者等設備貸与制度(公益財団法人大阪産業局が提供)
新たな事業を始める際に設備資金の調達の壁を低くするための制度です。
大阪産業局が設備を予め購入し、低利での長期リースや分割払いを選択することができるよう中小企業や創業者に提供します。このサービスを利用することで、企業は重い融資を避けつつ、必要な設備を速やかに取得することが可能となります。
設備調達の際の負担を軽減したい小規模企業者の味方、それが大阪産業局の小規模企業者等設備貸与制度です。
100万円から1億円までの設備購入に際し、大阪産業局が替え購入した上で、割賦販売もしくはリースを実施してしてくれるサポートです。
例えば、冷蔵庫のような小さな設備でも、合算して100万円以上に達する場合は申し込むことができます。
業種の制限は特になく、創業時でも利用可能です。
詳しい情報や、大阪で実施されているその他のサポートについては、公益財団法人大阪産業局の公式サイトをチェックしてみましょう。
2:大阪産業創造館(大阪市の事業支援)
大阪市からの依頼を受け、大阪市内の創業者や中小企業を応援するための施設です。専門的なセミナーや経営のコンサルティングを通じて、事業の発展をサポートしています。
大阪での新たなビジネスチャレンジを応援する大阪産業創造館。
ここでは「飲食店舗開業を検討している方向け」など、多岐にわたるテーマのセミナーが開催されています。
更に、創業の際の質問や不安をその場で専門家に相談することができる体制が整えられています。
7 まとめ
大阪府での創業時の資金調達には、「日本政策金融公庫からの融資」と「大阪信用保証協会の制度を通じた民間金融機関からの融資」の2つが主な選択肢となります。
この2つに融資条件の大きな違いは基本的には見られません。ですので、融資を受けるまでのタイミングや創業計画のサポートなど、細かなサービスの差に注目して選択、あるいは併用することを考慮しても良いでしょう。
創業融資は、実績がない段階での申し込みとなるため、「過去の実績に縛られない唯一の融資チャンス」とも言えます。
創業のビジョンを明確にし、担当者に対してその熱意を伝えることが、希望する融資額を得る鍵となります。
大阪府が提供する各種サポートを上手く活用し、創業計画を磨き上げ、確実な融資を目指しましょう。
大山 俊郎
大山俊郎税理士事務所代表税理士
同志社大学商学部卒業後
父が経営する年商50億の会社へ入社
二代目経営者として
現場での下積みから
会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事
特に
・銀行との交渉
・経理の改善
・資金繰り
・事業承継の対策
などに尽力
ある親族との同族問題で自社の株式
を売却をした経験から
「会社のヒト・モノ・カネの管理は
会社と経営者一族の運命を左右する」
ことを痛感
日本随一の
「同族会社経営を経験した税理士」
として事務所を開設し
「会社にお金を残す節税マニュアル」
を開発
全国の同族会社の経営者・法人経営者
向けに「会社を強くする仕組み作り」
を指導