【保存版】創業時の起業家にできる資金調達の方法
起業家にとって、「資金」のことは必ず考えておかなければならない問題の一つです。
当たり前のことですが、会社は「資金」がなくなれば継続することができません。
起業するときには、ほとんどのケースで「資金調達」が必要になります。
今回は、起業時に必要な資金調達の方法と、もっとも実現性が高い「新創業融資制度」について詳しく紹介していきます。
起業前のかたは、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
>「創業計画書」については 「起業家がお金を借りるにはたった一つの計画書が大事なんです!」もご参考ください。
>「新創業融資制度」については「会社設立直後の創業期でも楽な経営ができる、融資を受けるための条件」もご参考ください。
1.資金とは
まず「資金調達」について考える前に、そもそも「資金」とは何なのか簡単に説明します。
「資金」とは一般的には元手のことをいい、経営のために必要な金銭のことです。「資金」は、“会社にとっての血液”と言われるくらいなくてはならないもので、なくなると会社は倒産してしまいます。
起業をするのであれば、「資金」に関する知識を深めておく必要があるでしょう。
2.起業時に資金調達する方法
前述のとおり、資金がなければ会社を経営していくことはできません。
つまり、起業時には必ずまとまった資金がいるため「資金調達」する必要があるということです。
「資金調達」とはその名のとおり、企業・組織などが外部から事業に必要な資金を調達することをいいます。
ここでは、起業時に資金調達する方法を紹介していきます。
起業・創業時に活用できる資金調達の方法は主に4つです。
- 新創業融資制度(日本制作金融公庫)
- 制度融資(信用保証協会)
- 助成金・補助金
- ベンチャーキャピタル
- クラウドファンディング
それぞれ解説していきます。
新創業融資制度(日本政策金融公庫)
日本には、起業家に積極的にお金を貸してくれる「日本政策金融公庫」という金融機関が存在し、そこには起業家向けの融資制度がたくさんあります。
中でも、特に起業時の資金調達に活用できる制度が「新創業融資制度」というものです。
新創業融資制度は、これからビジネスを始める人や、ビジネスを始めてから税金の申請を2回以上していない人が使える制度で、無担保・無保証人で融資が受けられます。
融資限度額は3000万円(うち1500万円が運転資金)。
起業家にとって、もっとも実現性が高い制度なので、資金調達の方法でお悩みのかたはまず申し込むべき制度といえるでしょう。
この制度を使うためには必要条件がいくつかあるので、後ほど詳しくご紹介します。
制度融資(信用保証協会)
起業時の資金調達として、国民政策金融公庫の創業融資の他にも「制度融資」というものがあります。
この制度は、保証協会・自治体・民間の銀行の3社が連携して行うもので、限度額は1000万円程度の場合が多いです。
創業融資に比べ金利が安いというメリットがありますが、創業融資に比べて審査期間が少し長くなってしまいます。
基本的には、日本政策金融公庫でお金を借りられない場合にだけ「制度融資」を使うことをおすすめします。
大阪府の制度融資についてはこちら。
助成金、補助金
起業時に使える助成金・補助金は数多くあります。
中でも「創業促進補助金」は起業家に是非活用してほしい補助金の一つです。
申請には、認定支援機関(金融機関、税理士、中小企業診断士など)の支援が必要となります。
この補助金は、補助額が100万円〜200万円で、起業時にかかった経費の2/3を国が補助してくれます。審査が通ったら振り込まれるものではなく、使った経費が後から戻ってくる後払いなので、資金繰りには注意が必要です。
このような助成金・補助金の最大のメリットは、返済不要の資金を調達できるところです。
デメリットととしては、お金を受け取るまでに手間と時間がかかること、申請後に採択があるため確実に受け取れるわけではないということがあげられます。
ベンチャーキャピタル(VC)
ベンチャーキャピタル(VC)は、将来有望なベンチャー企業に出資をする金融機関のことです。
個人投資家による投資があまり活発でない日本では、ベンチャーキャピタルがその役割を担っています。
ただ、ベンチャーキャピタルの場合は、株式公開できそうな会社や、ビジョンや事業的な魅力に惚れ込んだ会社に投資することがほとんどなので、ある程度の事業規模で起業をする場合や、多くの共感を生むような魅力的な事業内容の場合に利用できるものと考えるべきでしょう。
ベンチャーキャピタルには、政府系、銀行系、証券会社系、事業会社系、独立系などがあり、ベンチャーキャピタルごとに投資の方針が異なります。
資金調達を成功させるには、各ベンチャーキャピタルの特徴を理解しておくことが重要です。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットの発達によって広まった「新しい資金調達」の1つです。
クラウドファンディングとは、企業や団体、個人の事業やプロジェクト実現のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める方法です。
目標金額と期間を設定して出資を募り、出資者には出資金額に応じてプロジェクトに関連するリターンがあります。
目標金額に達したら、集まった資金を調達することができます。
クラウドファンディングでは、個人や任意団体でも資金調達が可能になり、いろんなアイデアを形にしやすくなりました。
社会問題を解決できるものや、広く共感を集めるものほど支援されやすい特徴があります。
3.起業時は新創業融資制度(日本政策金融公庫)の利用がおすすめ
先ほど紹介した資金調達の中でもっともおすすめしたいものが、新創業融資制度(日本政策金融公庫)の利用です。
ここでは、新創業融資制度を利用するための条件など、実際に融資を受ける際に必要な情報を紹介していきます。
条件は?
日本政策金融公庫から「新創業融資」で融資を受けるためには、次のような条件があります。
- これから起業するビジネスでの勤務経験
- 自己資金が必要
この2つの条件について詳しく紹介していきます。
①これから起業するビジネスでの勤務経験
これは、実務経験のようなものです。
例えば、寿司屋を開業したい人が、「いまから開業して、寿司の握り方を勉強します」というのでは、そのビジネスでの成功は難しいですよね。
これは極端な例ですが、いくら起業を応援するメニューといえども、これは応援できないと国も判断するというわけです。
②自己資金が必要
自己資金が0円だと、基本的に公庫からの融資は受けられないことがほとんどです。
ビジネスを真剣に始めようと計画してきた人は、資金が必要なことは当然知っていますよね。
「資金が0円で事業をやりたいから融資してくれ」と言われても貸す方も「本当にやりたいのか?」と疑うのが当然です。
例えば、会社員の時代から毎月1万円ずつでも起業のために準備した通帳に貯金していた…この「計画性」が評価されて、結果的に融資が下りやすくなったという実例もあります。
ぜひ、実践してみてください。
理想の自己資金とは
例えば、勤務期間中から、毎月1万円ずつでいいので貯金を続けている記録が残っていれば、それ自体が非常に信頼性のある自己資金になります。
これは、起業家さんがお金を借りるための大事なノウハウでもあります。
金融機関としても自分自身で貯めてきたお金であることがよくわかるので、安心してお金を貸せるのです。
これはつまり、通帳に記録がないのにある日突然、数百万円のお金が入金されていた場合には信頼性がないということになります。
「実際に」自分自身で働いてお金を貯めてきたとしても、自己資金として見てもらえない可能性があるのです。
これは起業したあと、数年後にお金を借りることになった場合でも同じです。起業やお金を借りることに限らず、客観的な証拠がないもので人を説得することはとても難しいのが現実です。
創業計画書の書き方
融資を受けるためには書類と面談による審査をクリアしなければなりません。そのカギになるのが「創業計画書」です。
起業家が新創業融資を確実に受けるための創業計画書をきちんと書いて提出しなければいけません。
このブログでもこれまで創業計画書の書き方を細かく紹介してきました。
●「創業計画書の書き方」関連記事●
「4 取扱先・取引条件等」「5 従業員等」「6 お借入れの状況」の書き方
面談のルール
起業家が創業融資を受けるためには、必ず面談に合格しないといけません。
創業(事業)計画書をもとにした、日本政策金融公庫との面談があり、面談時間は通常約1時間です。
ここでは、実際に税理士として起業家さんの創業融資をお手伝いする中で分かってきた面談のルールを5つ紹介します。
①面談に代理人は認められない
たまに「自分は説明が下手なので代理の人に面談に行ってもらいたい」という方もいます。
日本政策金融公庫としては、これから起業する人の思いや事業計画を知りたいと思っています。まだ実績がない起業家のことを代理人に聞いて、お金を貸せるかどうか判断することはできません。
②自己資金は、必ず自分のお金で準備し、準備方法を面談で説明する
自己資金は、創業融資を受けるためには非常に重要です。
預金通帳の残高がたくさんあっても、それが自分のお金(自己資金)であると認めてもらう必要があります。
中には、友人などから一時的にお金を借りて通帳の残高を増やすという人もいるようですが、面談では「自己資金の集め方」についても質問されますので、自己資金を貯めた経緯について説明できるようにしておきましょう。
家族からお金を出してもらえる場合は、その旨をきちんと説明できれば自己資金として認定されることも多くなっています。
③創業計画書に書くことと面談で話すことを整合させる
創業計画書は、あなたの想いをしっかり反映したものとして、想いの表現であるべきです。
ですから、創業計画書は想いが反映しているものを作ってください。そうすれば、自然と面談で話すことにも一貫性が出てきます。
④聞かれたことだけを答える
ウソをつくとか、隠すことを勧めているわけではありません。
特にお話し好きの方に多いのですが、聞かれてもいないのに自分の言いたいことを話してしまう場合があります。
せっかく創業計画書に良いことを書いていても、実際に話す内容と矛盾点があればマイナスにしかならないので注意が必要です。
⑤見た目をきちんとしておく
面談だけで起業家の実力を見抜くことは非常に難しいです。
そんな中で、唯一説得力があるのが、日本政策金融公庫の担当者さんの目の前にいるあなたの姿です。
担当者さんにとって、あなたがお金を貸すに値する人であるかどうかが非常に重要です。お金を貸すに値する人は、信頼できる人である必要があります。
ぜひ、信頼できる服装(男性でも女性でもスーツがベスト)で面談に臨んでください。
4.まとめ
今回は、起業の際に必要になる「資金調達」の方法を紹介しました。
数ある資金調達の中で、起業家にとっては「新創業融資制度」がもっともおすすめの方法です。
ただ、誰もが確実に融資を受けられるわけではありません。融資を受けるためには、それなりの準備と情報収集が大切です。
起業時は、資金調達だけでなく、資金繰りなどの準備や知識も必要になるので、まずは専門家に相談をしてみることをおすすめします。
弊所でも「新創業融資制度」をはじめとした「資金」の相談を多く受けています。
通常「新創業融資制度」の面談は日本政策金融公庫の管轄支店で行われるのが普通ですが、創業融資のサポートをすることが多い弊所では、日本政策金融公庫さんとのお付き合いが頻繁にあるので、担当者の方に弊オフィスへ来ていただいて面談になることがほとんどです。
これは、融資を受ける方にリラックスして面談を受けていただくことにもつながっています。
まずはお気軽にご相談ください。
電話でもお申し込みOK
06-6940-0807
【受付時間】10:00〜18:00(土日祝除く)
大山 俊郎
大山俊郎税理士事務所代表税理士
同志社大学商学部卒業後
父が経営する年商50億の会社へ入社
二代目経営者として
現場での下積みから
会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事
特に
・銀行との交渉
・経理の改善
・資金繰り
・事業承継の対策
などに尽力
ある親族との同族問題で自社の株式
を売却をした経験から
「会社のヒト・モノ・カネの管理は
会社と経営者一族の運命を左右する」
ことを痛感
日本随一の
「同族会社経営を経験した税理士」
として事務所を開設し
「会社にお金を残す節税マニュアル」
を開発
全国の同族会社の経営者・法人経営者
向けに「会社を強くする仕組み作り」
を指導