創業融資を成功させるための必要書類の一覧とポイントを解説
この点を理解せずに間違った書類を準備してしまって一発で審査に落ちてしまう起業家も多いのです。
融資申込等の概要と基本的な流れ
創業融資を成功させるためには、申込みの流れを事前に把握しておくことが重要です。本記事では、申請から融資実行までのステップを簡潔に紹介します。
創業融資の申込等は、以下の流れで進みます。
-
事業計画書の作成
事業の目的、収益モデル、競争優位性などを明確にし、資金使途を具体的に説明できる計画書を準備します。 - 必要書類の準備
登記事項証明書、運転免許証・パスポートの写し、預金通帳、売上計画書などを用意します。 -
金融機関への相談・事前審査
申請する金融機関の窓口またはサイトで、事前相談を行い、どの融資制度が適しているか確認します。 -
正式申請の提出
申込み書類を金融機関(銀行や信用金庫の支店、公庫の支店など)に提出し、審査を待ちます。この際、面談が行われる場合もあります。 -
審査・面談
金融機関は、申請者の事業の妥当性、資金繰り計画、自己資金の割合などを審査します。面談では、計画の実現性を説明できる準備が求められます。 -
融資決定・契約手続き
審査に通過すると、融資額や返済条件の提示があり、契約を締結します。 -
融資実行
口座に資金が振り込まれ、事業運営に使えます。
スムーズな融資申請のためには、各ステップを事前に把握し、必要書類や計画を万全に整えておくことが重要です。
創業融資の申込みに必要な書類と原本・写しの違い
金融機関への申請時に必要な書類は多岐にわたります。原本が必要なものと写しでよいものを正しく理解し、スムーズに準備を進めましょう。
創業融資申請に必要な主な書類は以下のとおりです。
- 登記事項証明書・登記簿謄本(原本):法人の場合、登記が必要であり、金融機関に提出するための正式な書類となります。
- 事業計画書(写し可):申請時に複数の金融機関に提出するケースもあるため、写しを準備するのが一般的です。
- 運転免許証・パスポート(写し可):身分証明として使用するため、原本を提示しつつ、コピーを提出するのが一般的です。
- 預金通帳(写し可):自己資金の証明として活用されるため、過去数ヶ月分の写しを提出します。
- 公共料金の領収書(原本):住所確認のために必要な場合があるため、原本を準備しましょう。
これらの書類は各金融機関の基準によって異なるため、事前の窓口確認をおすすめします。
事業資金の希望金額と資金計画の考え方
創業融資の希望金額は、事業の成功に直結する重要な要素です。過大申請や不足申請を防ぐための適正な金額設定方法を解説します。
創業融資を申し込む際は、以下の点を考慮して希望金額や予定金額等を決定しましょう。
-
初期投資額を明確にする
店舗取得費、設備投資、仕入れ資金など事業開始に必要な資金を算出し、記入します。
-
運転資金を確保する
事業が安定するまでの数ヶ月分の経費(家賃、人件費、広告費など)を計算し、資金繰りを確保します。
-
自己資金とのバランスを考慮する
一般的に、自己資金の割合が高いほど審査に通りやすくなります。
-
余裕を持った資金計画を立てる
事業のリスクを考慮し、運転資金に余裕を持たせることで、安定した経営を実現できます。
希望金額は多すぎても審査が厳しくなり、少なすぎると事業運営が困難になるため、バランスの取れた計画を立てることが重要です。
銀行や金融機関の窓口相談のポイント
金融機関の窓口での相談を効果的に進めるためには、事前の準備が重要です。
適切な相談の仕方と注意点を解説します。
金融機関で相談する際には、以下の点を意識しましょう。
-
事業計画を簡潔に説明できるよう準備する
計画のポイントをまとめ、短時間で説明できるようにしておくことが重要です。
-
希望する融資額とその理由を明確に伝える
金融機関は、資金の使い道が明確な方が審査しやすいため、根拠を提示しましょう。
-
事前に必要書類を確認する
窓口での相談時に、不足書類の指摘を避けるため、事前に確認しておきましょう。
-
審査のポイントを聞き出す
金融機関ごとに審査基準が異なるため、担当者にどの部分が重要視されるのかを確認しましょう。
-
信用情報をチェックしておく
過去に金融事故がないか、自分の信用情報を把握しておくと、相談時の印象が良くなります。
金融機関の担当者は、融資の可否を判断する大切な存在です。しっかりと準備し、信頼されるような相談を心がけましょう。
準備すべき証明書類一覧
申請時には多くの証明書類が必要です。不備があると手続きが遅れるため、必要書類を事前の確認と準備が大切です。
申請時には、以下の証明書類が求められます。金融機関や制度によって異なるため、事前に窓口で確認することをおすすめします。
-
登記事項証明書・登記簿謄本(法人の場合)
法人を設立する場合、会社の登記情報を証明する書類が必要です。法務局で取得できます。
-
身分証明書(個人事業主・法人代表者)
運転免許証やパスポートの写しが求められます。
-
預金通帳の写し
事業資金の自己資金を証明するために、過去数ヶ月分の入出金履歴が必要です。
-
売上・収入証明書(事業経験がある場合)
既に個人事業を営んでいる場合、確定申告書や帳簿の写しが求められる場合があります。
-
公共料金の領収書(住所確認)
申請者の居住地や事業所の所在地を確認するため、電気・ガス・水道料金の領収書が必要な場合があります。
-
許認可証明書(該当業種のみ)
飲食店や建設業など、特定の業種では営業許可証や登録証明書が必須となります。
これらの書類は、金融機関や融資制度によって異なるため、早めに準備し、不備がないように確認することが重要です。
資金調達時の注意点と担保・保証の考え方
担保や保証人は不要?金融機関ごとの原則とは
創業融資では、担保や保証人が不要なケースもあります。どの金融機関を選べばよいのか、融資条件を比較しましょう。
一般的に、金融機関ごとに担保や保証人の必要性が異なります。
-
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」
原則、担保・保証人は不要ですが、自己資金が一定割合必要になります。
-
信用保証協会付き融資
信用保証協会が保証するので、担保なしでも融資が受けられます。ただし、信用保証料が発生します。
-
民間銀行の創業融資
多くの銀行では、融資額に応じて担保や保証人を求められることがあります。特に高額融資では担保が必要になるケースが多いです。
どの制度を選ぶかによって条件が変わるため、自分の状況に合った金融機関を選びましょう。
融資希望額の決め方と実績を証明する方法
融資希望額は、多すぎても少なすぎても審査に影響します。事業計画と実績をもとに適正額を設定しましょう。
融資希望額を決める際に考慮すべきポイントは以下のとおりです。
-
必要資金を明確にする
設備投資、仕入れ、運転資金など、事業に必要な資金を具体的に算出します。
-
自己資金の割合を意識する
一般的に自己資金が10%~30%以上あると審査が有利になります。
-
売上予測と返済計画を立てる
収益が出るまでの期間を考慮し、無理のない返済スケジュールを作成します。
-
過去の実績を活用する(事業経験者の場合)
既に売上がある場合、確定申告書や売上明細を活用し、実績を証明することで審査の通過率が向上します。
しっかりと根拠を持って希望額を決定し、金融機関に納得してもらえるよう準備を進めましょう。
店舗や設備投資を含めた資金計画の立て方
店舗取得と設備投資の資金計画のポイント
店舗取得や設備投資の費用は高額になりがちです。
適切な資金計画を立て、効率的な資金調達を目指しましょう。
店舗を取得する際に考慮すべきポイントは以下のとおりです。
-
店舗取得費用
賃貸契約の場合は敷金・礼金、保証金、内装工事費を考慮する必要があります。物件を購入する場合は、不動産登記費用や仲介手数料が発生します。※不動産については取引自体が複雑になるためしっかりとオーナー、仲介会社とのコミュニケーションを取りましょう。
-
設備投資
飲食店であれば厨房機器、小売業であればレジシステムなど、業種に応じた設備投資が必要になります。
-
見積書の準備
金融機関に融資申請をする際、設備購入費用の見積書を業者さんに発行してもらい、それを金融機関に提出することで資金使途の明確性を示せます。※金融機関によっては、pdf形式のデータをメールで送信することで提出できる場合もあります。
店舗や設備投資は、事業の成否を左右する重要な要素です。適正な資金計画を立て、無理のない運営を目指しましょう。
融資を受けるための具体的な行動計画
融資を確実に受けるためには、計画的な準備とタイミングが重要です。事前に必要な手続きを確認しましょう。
融資を受けるために実行すべきステップは以下のとおりです。
-
金融機関の選定と事前相談
どの融資制度を利用するかを決め、金融機関の窓口で相談を行います。 -
事業計画書の作成
売上予測、資金繰り、返済計画などを詳細に記載し、説得力のある資料を作成します。 -
必要書類の準備
登記事項証明書(全部事項証明書)、許認可証明書(該当業種のみ)、預金通帳の写しなどを揃えます。 -
申請と審査対応
申請後に面談が行われるケースが多いため、事業計画や資金用途を明確に説明できるように準備しましょう。 -
融資実行後の資金管理
資金の使い道を記録し、計画通りに運用できるように管理することが求められます。
適切な準備と行動が、融資成功のカギとなります。
金融機関の審査基準はどうなっているの?
審査で見られるポイントと生活状況の影響
融資審査では、事業計画だけでなく、個人の生活状況もチェックされます。どのような点が審査の対象となるのか把握しておきましょう。
金融機関が審査時に注目するポイントは以下のとおりです。
-
信用情報の確認
申請者の過去の借入履歴や返済状況を信用情報機関を通じてチェックします。住宅ローンやクレジットカードの延滞があると審査に不利になることがあります。 -
生活費の支払い状況
公共料金(電気・ガス・水道など)の支払い履歴もチェック対象です。安定して支払われていることが信頼性につながります。 -
事業と個人の資金管理
預金通帳の残高や取引履歴から、資金繰りが適切に管理されているか確認されます。自己資金がある程度確保されていることが望ましいです。 -
生活費と収入のバランス
事業が軌道に乗るまでの期間、生活費をどのように確保するかを説明できるようにしておきましょう。貯蓄や他の収入源を示すことが有利になります。
これらのポイントを事前に整理し、安定した生活基盤を証明できるよう準備しましょう。
金融機関のプライバシーポリシーとデータの取り扱い
融資申請時に提出する個人情報がどのように扱われるのか、事前に確認しておきましょう。
金融機関では、申請者の情報を以下の目的で利用します。
-
信用情報の照会
申請者の借入履歴や返済状況を信用情報機関と共有し、審査の判断材料とします。 -
個人情報の管理
収集した情報は、一定期間金融機関内で保存されます。情報の保管期間や使用目的は、各金融機関のプライバシーポリシーで定められています。 -
第三者提供の可能性
一部の情報は、信用保証協会や関係機関に提供されることがあります。契約書に記載されているため、事前に確認しておくことが重要です。 -
情報の開示請求
自身の信用情報に誤りがある場合、訂正を求めることができます。金融機関や信用情報機関に問い合わせることで対応可能です。
融資申請時に提出する個人情報がどのように利用されるのかを理解し、安心して手続きを進めましょう。
その他の重要なポイント
事業計画の中で重視すべき要素
金融機関は事業計画の細部まで確認します。融資を受けるために、特に重視すべきポイントを解説します。
事業計画書を作成する際に重視すべき要素は以下のとおりです。
-
売上予測の妥当性
収益モデルが現実的であり、根拠が明確になっているかを確認しましょう。 -
資金使途の明確化
融資をどのように活用するのか、設備投資・運転資金・仕入れなど、具体的な用途を示すことが重要です。 -
市場調査と競争優位性
競合との差別化ポイントやターゲット顧客を明確にし、新規顧客の獲得の可能性など成功する見込みを表現します。
※例えば、お店の前を通る人口や年齢層を調査し、1日に何人来店する可能性があるか等を考慮して見込み売り上げの計算に使用します。
4.返済計画の現実性
事業の売上から無理なく返済できるかを説明できるように準備しましょう。
事業計画書は、融資審査の重要な判断材料となります。
しっかりとした計画を作成し、審査担当者を納得させることが大切です。
手続きを行う前に確認すべき事項
融資の手続きをスムーズに進めるためには、事前に確認すべきポイントを整理しておくことが重要です。
融資申請の前に確認すべき事項は以下のとおりです。
-
金融機関ごとの審査基準を把握する
金融機関によって審査基準が異なるため、どの機関を利用するのが最適かを事前に調べておきましょう。 -
必要書類を揃える
申請時に書類が不足すると審査が遅れるため、登記事項証明書や許認可証明書などの必要書類を早めに準備しましょう。 -
事業計画の見直しを行う
金融機関の担当者にしっかり説明できるように、事業計画を再確認し、補足資料を用意することが大切です。 -
自己資金を確保する
自己資金の割合が審査に影響を与えるため、一定額の自己資金を準備しておくと有利になります。
申請前の準備がしっかりできているかどうかで、融資の通過率が変わります。事前にしっかりと日本政策金融公庫などの公式サイトを確認しておきましょう。
どの融資制度が適しているのか?
創業融資にはさまざまな制度があり、どれを利用するかによって条件やメリットが異なります。
最適な制度を選ぶためのポイントを解説します。
融資を受ける際、以下の点を考慮して最適な制度を選びましょう。
-
自己資金の有無
自己資金が少ない場合、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」など、低い自己資金で申し込める制度を選ぶのが有利です。 -
担保や保証人の有無
担保・保証人なしで借りたい場合は、信用保証協会付き融資や政策金融公庫の無担保融資を検討しましょう。 -
融資希望額と金利
融資額によって適用金利が異なるため、希望額と返済負担のバランスを考慮し、最適な制度を選ぶことが重要です。 -
金融機関の対応
地方自治体の制度融資など、地域ごとに利用できる特別融資がある場合もあります。複数の金融機関を比較し、最も有利な条件の制度を選びましょう。
融資制度ごとの条件を理解し、自身の事業計画に最適な選択を行いましょう。
まとめ
創業融資は、事業を軌道に乗せるための重要な資金調達手段です。
しかし、申請の準備が不十分だと、融資の審査に通らなかったり、希望する金額を確保できなかったりする可能性があります。
今回解説したポイントをおさらいし、スムーズな融資獲得を目指しましょう。
・融資申請前の準備が成功のカギ
融資を受けるためには、事業計画の作成、必要書類の準備、金融機関ごとの審査基準の把握が不可欠です。
特に、事業計画書の質は審査結果を左右するため、具体的で説得力のある計画を作成することが求められます。
・融資申請時のポイント
申請時には、自己資金の割合、資金用途の明確化、希望金額の妥当性が審査の重要ポイントになります。
特に、無理のない返済計画を示すことで、金融機関に安心感を与えることができます。
・金融機関の審査基準を理解し適切な制度を選ぶ
金融機関によって融資の審査基準や制度が異なるため、自分の事業に適した融資制度を選択することが重要です。
日本政策金融公庫の新創業融資制度、信用保証協会付き融資、地方自治体の制度融資など、それぞれの特徴を理解し、最適な選択をしましょう。
・審査を通過するために意識すべき点
審査では、事業計画の内容だけでなく、申請者の信用情報や生活費の支払い状況もチェックされます。
住宅ローンや公共料金の支払い履歴が審査に影響を与える可能性があるため、日頃から適切な資金管理を行い、信用を確保することが大切です。
・融資後の資金管理も重要
融資を受けた後は、計画通りに資金を運用し、返済を確実に行うことが求められます。
資金の流れを適切に管理し、事業を安定させることが、次の融資や追加の資金調達につながるため、慎重に運営を行いましょう。
創業融資は、しっかりと準備をすればスムーズに進めることができます。本記事の内容を参考に、適切な計画と準備を整え、事業の成功に向けた第一歩を踏み出しましょう。

大山 俊郎
大山俊郎税理士事務所代表税理士
同志社大学商学部卒業後
父が経営する年商50億の会社へ入社
二代目経営者として
現場での下積みから
会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事
特に
・銀行との交渉
・経理の改善
・資金繰り
・事業承継の対策
などに尽力
ある親族との同族問題で自社の株式
を売却をした経験から
「会社のヒト・モノ・カネの管理は
会社と経営者一族の運命を左右する」
ことを痛感
日本随一の
「同族会社経営を経験した税理士」
として事務所を開設し
「会社にお金を残す節税マニュアル」
を開発
全国の同族会社の経営者・法人経営者
向けに「会社を強くする仕組み作り」
を指導