介護施設は2種類ある?開業するまでの5ステップ【費用やメリットも解説】
「介護施設の開業って、いくらお金が必要なのかな……」
「介護施設の開業のためにお金を借りたいけど、何からやれば始めればよいのかな……」
こんなお悩みを解決できる記事をお探しではありませんか?
実は、この記事で紹介する「介護施設の開業するまでの準備5ステップ」について理解できれば、 初心者でも介護施設の開業にチャレンジできます。
なぜなら私自身、開業資金の融資に強い税理士として、開業の相談に乗る中で多くのクライアントの開業時の悩みを解決してきたからです。
そこで今回は、記事前半で「介護施設の開業をするまでに必要な準備」について、 後半で「開業の費用とメリット」について解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事を最後まで読むことで、介護施設の開業における失敗を未然に防ぐ準備ができることをお約束します。
1. 介護施設とは?【2種類ある】
介護施設には介護サービスによって以下の2種類に分けられます。
・居宅サービス(通所介護)
・施設サービス
居宅サービスのメインは日帰り介護、訪問介護、短期入所介護です。よく利用されるデイサービスは日帰り介護のことを指し、居宅サービスに該当します。
特徴としては生活の拠点は自宅という点です。週に数回、日帰りで施設に通う介護サービスの形態です。
一方、施設サービスというのは次の3種類に分けられます。
・介護老人福祉施設
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
一般的に言われる老人ホームとは、介護老人福祉施設を指します。
居宅サービスとは対称的に、老人ホームでは介護施設をメインの拠点として、生活しつつ介護サービスを受けるという違いがあります。
この記事では後者の「施設サービス」について解説をしていきます。
2. 介護施設の開業するまでの準備5ステップ
この章では、介護施設の開業するまでの準備5ステップについて解説します。
あなたはどこまでクリアできているか、残りどこまで取り組めばよいか参考にしつつチェックしていきましょう。
ステップ1:施設のコンセプトやサービス体制を決定
どのような介護施設を開業したいのか、サービス形態を決定することが第一歩です。
たとえば介護施設の種類には、前述したように2種類に大まかに分けられ、さらに下記のように細分化された結果、多くの種類が存在します。
・在宅介護
・デイサービス
・老人ホーム
・訪問介護
・訪問看護
・デイケア
・グループホーム
介護施設の種類を決めたら、次は具体的にターゲットはどの層にするのか、提供するメニューはどのようなものにするか、介護施設の全体コンセプトを決めていきます。
それぞれの特徴を理解した上で、あなたの強みを生かして、他の介護施設との差別化を作れるサービス体制を固めていきましょう。
ステップ2:法人を設立
介護施設の開業をするためには、法人を設立しなければなりません。個人事業主で運営をすることはできないためです。
法人といっても下表のようにいくつも種類が存在します。
組織形態 | 特徴 |
株式会社 |
・営利目的 ・発行した株式から資金を集めて経営 ・出資金額に応じて利益を 株主に分配しなければならない |
合同会社 |
・営利目的 ・出資者も経営に参加できる ・利益の分配を自由に決められ、 株式会社より設立しやすい |
一般社団法人 |
・非営利 ・法務局への登記のみで設立可能 |
NPO法人 |
・非営利 ・社会貢献活動を第一とし、 収益の分配を目的としない |
ステップ1で定めたあなたのコンセプトに対してどの形態が一番適しているか、検討してみましょう。
ステップ3:施設の場所決めと設備の手配
介護施設の開業をする上で、施設の場所は非常に重要な要素となります。
施設サービスでは機能訓練室、トイレ、浴室はもちろん、食堂や厨房、ロビーなどサービスに合わせた間取りの案をあらかじめ、まとめておく必要があります。
また、あなたのお住まい、どの商圏をターゲットにするかで施設の場所は大きく変わってきます。予算と相談しつつ、早めから物件探しを進めていきましょう。
サービス提供のための設備の確保もやるべきことの1つです。購入するのか、レンタルするのか、など予算感を把握し、決めておくことをこの時期からできるとベストです。
ステップ4:スタッフを採用し、教育
人材が必要不可欠な介護施設では、開業前に採用・教育を行います。
サービス形態によって違いますが、必要な従業員の人数が定められている「人員基準」があるので注意しましょう。
たとえば老人ホーム(介護老人福祉施設)については、下表のような基準と法律で定められています。
■人員基準
医師 | 入所者に対し健康管理及び療養上の指導を行うために必要な数 |
介護職員又は看護職員 | 入所者の数が3又はその端数を増すごとに1以上 |
栄養士 機能訓練指導員 |
1以上 |
介護支援専門員 | 1以上(入所者の数が100又はその端数を増すごとに1を標準とする) |
■設備基準
居室 | 原則定員1人、入所者1人当たりの床面積10.65㎡以上 |
医務室 | 医療法に規定する診療所とすること |
食堂及び機能訓練室 | 床面積入所定員 x 3㎡以上 |
廊下幅 | 原則1.8m以上 |
浴室 | 要介護者が入浴するのに適したものとすること |
引用:厚生労働省 介護老人福祉施設(参考資料)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000171814.pdf
ステップ5:免許の取得・提出
設置届を自治体に提出します。老人ホームを開業するためには、「特定施設入居者生活介護」の指定申請も併せて必要になります。また施設サービスの種類によって必要となる資格や免許は変わります。
ステップ4で説明した人員基準と設備基準以外にも満たさなければいけない条件はないか、開業予定の自治体に相談してみましょう。
3. 介護施設の開業にかかる費用
この章では、老人ホームを開業するにあたって必要な費用について解説します。
開業にかかる資金(初期費用)
50人規模での老人ホームを地方都市で開業するモデルケースを仮定すると合計で約2.5億円かかります。内訳は下表の通りです。
費用 | 経費例(千円) |
物件取得費 | 95,000 |
施工費 | 55,000 |
什器費 | 63,000 |
備品 | 35,000 |
営業費用 | 7,000 |
印刷DMなどの販促費 | 1,500 |
合計 | 256,500 |
運営にかかる資金(固定費)
固定費に関しては、サービス内容や土地の地価によって大きく変わります。
具体的には以下の費用が主に固定費としてかかります。
・人件費
・施設維持管理費
・固定資産税
・建設借り入れ利息
・食事・サービス関係費
・広告費
4. 開業費用の資金調達方法2選
老人ホームの開業のためには、自己資金だけでは足りない人がほとんどでしょう。
そこでこの章では資金調達をしつつ、開業する方法を2つ紹介します。
助成金の利用
民間の福祉活動を対象に助成金や融資を実施している団体は複数あります。たとえば、独立行政法人福祉医療機構(WAM)があります。
他にも公的融資に関しては各都道府県・市町村独自で実施しているものもあります。詳細は開業予定の自治体のホームページをご参照ください。
金融機関や日本政策金融公庫からの融資
各金融機関は「介護施設提携ローン」や「高齢者施設サポートローン」など、老人ホーム向けの融資サービスを展開しています。
さらにサービス付高齢者向けの住宅の場合、高額になりがちな固定資産税や不動産取得税の優遇措置があります。
また国が運営している日本政策金融公庫の力を借りる方法もあります。
こちらの公庫は、開業支援を積極的に行っています。
「新創業融資制度」を利用することで連帯保証人無しで、無担保無保証でも最大3,000万円を借りれます。申し込みから1ヵ月ほどで融資が実行されますが、金利が他の融資に比べ高くなることが注意点となります。
5. 介護施設を開業すると儲かる?収入の相場を紹介
50人規模での老人ホームを地方都市で開業し、以下のような条件を仮定すると、月の収入は1200万円となります。
・入居者:50人
・月額利用料:30万円
・管理費用:1ヶ月の収益の20%
この収入から土地購入や施工費で利用した借入金の返済に充てていくため、手取り額はもう少し低くなります。
損益分岐点をいつ(いくら)にしたいか、実際に月額利用料を何円にすれば集客できるか、などを考えて料金設定していくことで収入は大きく変わります。
6. 介護施設を開業するメリット3選
1.利益が手元に残りやすい
介護施設は利益が手元に残りやすいという点で大きなメリットとなります。
これは、介護保険が適用されるビジネスであるためです。
1~2割は利用者の自己負担、残りの8~9割は介護保険で国、都道府県、市区町村から支給されるため、安定的に経営ができます。
また介護報酬額は福祉サービスの質を引き下げないために厚生労働省で決められています。ほかの事業所との価格競争に巻き込まれるリスクも低いです。
2.高齢化に伴い、マーケットが大きい
介護施設を開業する上での最大のメリットは、マーケットが大きいことです。
高齢化が進み、要支援・要介護者の人数も増加しています。厚生労働省が発表している「介護保険事業状況報告」によると、2022年10月時点の要介護(要支援)認定者数は約697.6万人です。過去のデータを比較しても、右肩上がりとなっています。
いまや日本の2人に1人は50代以上です。今後も高齢化が加速する日本においては、負けにくい安定したビジネスだと言えるでしょう。
参考:厚生労働省 介護保険事業状況報告 月報(暫定版)
https://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-1.html
3.資格が無い未経験から挑戦できる
資格を持っていない未経験者からでもチャレンジできることも、介護施設を開業するメリットの1つです。
専門的な資格を持っておらず、介護業界での経験がない人でも、必要な人材を採用できれば開業可能です。
介護経験問わず、一番ハードルが高い部分は開業をし始めるまでの手続きや準備です。税理士など士業の方でない方が開業する大半であるため、苦労されることが多いです。
融資に関する情報や知識、経験が十分になければ書類準備には時間がかかってしまいます。
大山俊郎税理士事務所では、審査する金融機関目線も持ち合わせつつ資金調達の実現、そして安定した事業の運営をサポートします。
7. まとめ:介護施設の開業は複雑。万全の準備を!
本記事では、介護施設の開業をするまでに必要な準備、開業の費用とメリットについて解説しました。
最後に、この記事をまとめると以下のとおりです。
・開業するまでには5ステップがある
・開業に必要な金額は、地方都市における定員50名の老人ホームを想定すると約2.5億円
・融資の方法は助成金と金融機関・金融公庫からの融資の2種類が存在する
介護施設の開業資金を確保し、安定した経営をするためには、いかに助成金や融資の審査の通過率を高めるかがポイントとなります。
開業で失敗しないために、この記事を参考にして取り組んでいただければと思います。
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【受付時間】10:00〜18:00(土日祝除く)
大山 俊郎
大山俊郎税理士事務所代表税理士
同志社大学商学部卒業後
父が経営する年商50億の会社へ入社
二代目経営者として
現場での下積みから
会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事
特に
・銀行との交渉
・経理の改善
・資金繰り
・事業承継の対策
などに尽力
ある親族との同族問題で自社の株式
を売却をした経験から
「会社のヒト・モノ・カネの管理は
会社と経営者一族の運命を左右する」
ことを痛感
日本随一の
「同族会社経営を経験した税理士」
として事務所を開設し
「会社にお金を残す節税マニュアル」
を開発
全国の同族会社の経営者・法人経営者
向けに「会社を強くする仕組み作り」
を指導