日本政策金融公庫の創業融資『新創業融資制度』とは?概要や要件、審査について
創業を検討している方の中には、日本政策金融公庫の創業融資の活用を検討している方も多いのではないでしょうか。
日本政策金融公庫では創業支援に取り組んでおり、新たに事業を始める方のために融資制度を設けていることから、資金調達の方法として注目されています。
そこでこの記事では、日本政策金融公庫が提供している『新創業融資制度』について詳しくご紹介します。ぜひ記事を参考にして利用を検討してみましょう。
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日本政策金融公庫の『新創業融資制度』とは?
『新創業融資制度』とは、日本政策金融公庫が提供している創業者向けの融資制度のひとつで、新たに事業を始める方や創業間もない方が利用できます。
企業だけではなく、個人事業主をはじめとするスモールビジネスに対する支援を目的としているため、資金調達が必要であればうまく活用すると良いでしょう。
新創業融資制度とは
利用できる方 |
● 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方 ● 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方 |
資金の使い道 |
● 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 |
● 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
返済期間 |
● 各融資制度に定める返済期間以内 |
利率(年) |
● 融資制度、使い道、融資期間、担保の有無によって異なる ※1%~3%前後 |
担保・保証人 |
● 原則不要 ※原則、無担保無保証人。法人の場合は代表者が連帯保証人となることが可能。その場合は利率が0.1%低減される。 |
※日本政策金融公庫『新創業融資制度』より抜粋
『新創業融資制度』とは、事業に取り組む方々を支援する国の金融機関である日本政策金融公庫が提供する支援制度であり、制度の概要は上記の通りです。
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方が利用でき、『新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)』など、ほかの制度と併用する必要があります。
新創業融資制度の金利・返済期間
新創業融資制度の金利は、民間の金融機関などと比較しても低金利に設定されており、返済期間においても長めに設定ができ、返済負担を少なくすることができます。
実際の金利については、日本政策金融公庫の公式サイト「国民生活事業(主要利率一覧表)」に示されている通りです。
例えば、無担保・無保証人での融資を希望する、税務申告を2期終えていない方であれば、基準利率は2.23%~3.20%になります。(※令和5年4月3日現在の年利)
ただし、担保や保証人を提供する場合や融資期間などによって、特別利率が適用されることになり、さらに利率が低く設定されます。
返済期間については、『新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)』の制度を併用となる場合には、設備資金については20年以内、運転資金については7年以内となります。
新創業融資制度の2つの要件
新創業融資制度を利用するためには、
- 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
- 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方
と記載されています。
ここでポイントとなる『自己資金』『税務申告を2期終えていない』という点について、詳しくご紹介いたしましょう。
自己資金
新創業融資制度の自己資金の要件として『創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できること』と定められています。
例えば、開業資金として1000万円の融資が必要なのであれば、100万円の自己資金を用意しておかねばならないことになります。
ただ、10分の1以上の自己資金を準備していれば、必ず融資が受けられるというものではありませんので注意が必要です。
日本政策金融公庫が提供している『新規開業実態調査』によりますと、開業資金に必要な総額に占める自己資金の割合は24%となっています。
借入に依存した計画においては、見込んだほどの売上が上がらないことや、予想以上に経費などに出費がかさんでしまうなど、資金繰りがうまくいかないケースが多くなっています。
そのため、自己資金を少しでも増やしておくように、早い時期からコツコツと貯金に取り組むなどの姿勢が必要です。
税務申告を2期終えていない
『新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方』と定められており、創業後の方でも2期を終えていなければ対象として認められています。
そのため、創業後の資金調達をお考えの方であれば、うまく活用すると良いでしょう。
この『2期』の考え方ですが、個人事業であれば12月31日が決算日となりますので、仮に4月1日に創業であっても、その年の12月31日までが1期、次の年の12月31日までが2期ということになります。
法人においては決算日によって異なり、4月1日に創業、7月31日に決算日を迎えるのであれば、その年の7月31日までが1期、次の年の7月31日までが2期ということになります。
そのようなことから、タイミングによって2期が必ずしも2年になるわけではないという点について、理解しておくことが大切です。
日本政策金融公庫の審査は甘い?新創業融資制度の審査の流れについて
日本政策金融公庫の審査は、ほかの金融機関と比較して甘いのかどうか、インターネット上において話題になることがあります。
一部の金融機関では融資が難しい、創業融資を積極的に行っていますが、決して審査が甘い訳ではありません。
必要書類をしっかりと揃え、綿密な計画を元に立てた創業計画書を準備し、また面接時において計画書の内容について説明できなければならないのです。
では、どのような書類が必要になるのか、どのような流れで審査が行われるのか、また審査に落ちてしまう人の特徴についても詳しくご紹介いたしましょう。
必要書類
新創業融資制度を活用する場合には、さまざまな書類が必要となり、事業の形態や業種、申し込み方法によって準備しておくべき書類は異なります。
必要書類は、日本政策金融公庫の公式サイトからダウンロードできるようになっています。(※国民生活事業『各種書式ダウンロード』)
一般的に必要となる書類についてご説明していきましょう。
■借入申込書
申込み手続きの際に必要となる書類であり、名前や申込金額、借入希望日、返済期間などを記載して提出します。
支店の窓口、郵送による申込みでは必ず提出を、インターネット申込みであれば登録したメールアドレスに届く専用フォームが借入申込書となっています。
■創業計画書
創業計画書とは、審査で重視される書類にひとつで、
- 創業の動機
- 経営者の略歴
- 取引先・取引関係
- 従業員
- 借り入れの状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し
などの内容となっています。
■月別収支計画書
収支計画の策定に必要となる書類で、
- 売上高
- 売上原価(仕入高)
- 経費(人件費、家賃、支払利息など)
- 借入金返済額
- 売上高、売上原価、経費の算出根拠
- 売上高達成に向けた具体的な取り組み
- 計画した売上高を下回った場合の資金繰り・資金調達方法
などの内容となっています。
■見積書
設備資金の借入れが必要な際に、その根拠として添付しておくべき書類です。
■履歴事項全部証明書または登記簿謄本
法人の名称や本店所在地、代表者などの確認のために必要となる書類です。
■不動産の登記簿謄本または登記事項証明書
不動産を担保とする場合に必要となる書類です。
■都道府県知事の「推せん書」(生活衛生関係の事業を営む方)
全国生活衛生営業指導センターなどで取得できる書類で、飲食や美容などの生活衛生関係の事業の方が申し込む際には添付しておく必要があります。
■許認可証のコピー
飲食店など許認可証が必要な事業の場合には、コピーを添付しておく必要があります。
審査の流れ~申込みから面談、融資実行まで
新創業融資制度において、申込みから融資実行までの審査の流れは、次の通りとなっています。
①融資相談
- 支店の融資相談係
- 管轄する支店への電話相談
- 事業資金相談ダイヤルへの電話相談
申込み手続き前には、融資相談が可能となっており、相談方法としては上記の3種類となっています。
審査の流れや必要書類など、丁寧な説明を受けることができ、窓口に出向けば、面談での雰囲気を掴んでおくことができますのでおすすめです。
②必要書類の提出
『支店の窓口』『郵送』『インターネット』のいずれかの方法によって、必要書類を提出します。
提出して数日で面談日の通知があり、面談時に必要となる資料をはじめ、資産・負債のわかる書類など、必要書類が記載されています。
③面談
面談日には、必要な書類を持参し、支店に出向きます。
面談では創業計画書の内容に沿って質問されることになり、おおよそ1時間前後の面談となります。
さまざまな角度から事業内容についてチェックされますので、的確に答えられるようにしておきましょう。
④実地調査
面談後には実地調査として、店舗や事業所、自宅などを訪問されるケースがあり、同席を求められる場合もあります。
⑤融資
審査結果は、面談や実地調査の終了から1週間程度で郵送によって通知され、審査の合否と共に、融資が可能な場合には融資額が記載されています。
指示通りに手続きを進めていけば、数日で指定の口座に融資額が振り込まれることになります。
審査に落ちた人の特徴は
- 自己資金がない、足りない
- 貸付条件に満たしていない
- 創業計画が甘い、無理がある
- 創業計画が自身に落としきれておらず面談で説明できない
- 税金や公共料金などの延滞がある
- 消費者金融での借金や過去の金融事故によって信用力が低い
審査に落ちた人の特徴について、そのポイントをお伝えしました。
一般的に日本政策金融公庫の審査通過率は、創業融資であれば20%〜30%程度になると言われており、決して簡単に通過する審査ではありません。
さまざまな点において準備が必要となりますので、専門家からのサポートを受けることが、融資を受けるための最も近道になると言えるでしょう。
新創業融資制度によくあるQ&A
Q 創業融資を受けるまでの期間は?
A それぞれのケースによっても異なりますが、申込みからおおむね1か月〜2か月程度となります。また、必要書類の準備や作成にも時間が必要となることから、早めに準備を進めておくことが大切です。
Q 創業融資の審査は、どのくらいの割合で通過するの?
A 一般的には、20%〜30%程度であると言われており、自分ひとりだけで融資を受けようとするとさらに厳しい状況が予想されます。そのため、専門家のサポートを受けて進めていくことをおすすめします。
Q 担保や保証人がなくても融資は受けられるの?
日本政策金融公庫の創業融資においては、融資を受けることが可能です。
ただし、融資金額の上限金額を上げることや、金利を引き下げることができますので、可能であれば準備しておくことをおすすめします。
まとめ
日本政策金融公庫の融資制度である『新創業融資制度』について詳しくご紹介しました。
これから事業を始める方、あるいは事業を開始して間もない方が活用でき、実績がないために金融機関での融資が難しい方でも融資が可能となっています。
ただ、自己資金をしっかりと準備し、また事業に対する熱意はもちろんのこと、入念な計画がなければ審査に通過することはできません。
自分だけで融資を受けようとしてうまくいかないケースが多いため、どのように進めていくべきか、専門家に相談することをおすすめします。
電話でもお申し込みOK
06-6940-0807
【受付時間】10:00〜18:00(土日祝除く)

大山 俊郎
大山俊郎税理士事務所代表税理士
同志社大学商学部卒業後
父が経営する年商50億の会社へ入社
二代目経営者として
現場での下積みから
会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事
特に
・銀行との交渉
・経理の改善
・資金繰り
・事業承継の対策
などに尽力
ある親族との同族問題で自社の株式
を売却をした経験から
「会社のヒト・モノ・カネの管理は
会社と経営者一族の運命を左右する」
ことを痛感
日本随一の
「同族会社経営を経験した税理士」
として事務所を開設し
「会社にお金を残す節税マニュアル」
を開発
全国の同族会社の経営者・法人経営者
向けに「会社を強くする仕組み作り」
を指導