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会社設立後の資金繰りが楽になる4つの方法とは?

大山 俊郎
監修者 大山 俊郎

大山俊郎税理士事務所 代表 大山俊郎(おおやま としろう)

光熱費や人件費高騰による大幅なコストアップ・・・
しかし、中小企業の多くはコストアップを販売価格に反映できず苦しんでいます。「薄利多売」の時代は終わり、中小企業でも「値上げ」が必須の時代になりました。
この時代を勝ち抜くために、弊所独自の「強み集中」利益最大化経営計画を通して中小企業の支援を行っています。

代表的な著書は「SWOT分析を活用した【根拠ある経営計画書】事例集」。

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いきなりですが、質問です。

 

「お金の流れ、見えてますか?」

もしあなたがそう聞かれて答えられないとしたら、実はとても恐いことです。

…あなたが会社員として普段の生活をしていくだけなら問題ないかもしれません。

 

でも、会社設立直後の会社にとっては、お金の流れだけが会社の命綱です。

なぜなら、特に会社設立直後は、営業ルートが少なかったりして売上が安定しないことも多いからです。

そして、これは意外かもしれませんが…

 

たとえ会社設立直後からすぐに売上が伸びても、やはり資金繰りは苦しい可能性があります。

その理由は…

 

 

「お金の流れ」が安定しないからです。

 

 

「お金の流れ」が安定しないのにその「お金の流れ」が把握できていない、見えない、ということが会社設立直後こそ起こりやすいのです。

実際に、会社を設立する前の方、会社を設立して間もない経営者の方にとっては、資金繰りが大きな不安要素ではないでしょうか。

実際、今まで僕は10年以上、資金繰りの「現場」を見てきました。

 

経営の現場で起こっていることは、

「多くの経営者が『資金繰りが大事』と分かっていても、実践できない」

という事実です。

…もちろん自分自身もそうでした。

 

でも、これから会社を設立して起業するあなたには資金繰りで苦しむ経営をしてほしくない、と心から思います。

そこで、今回は、資金繰りについて簡単に理解してもらい、会社設立直後でもすぐに使える「資金繰りを改善する方法」をお伝えします。

 

資金繰りってなに?

 

「資金繰り」の「資金」は、お金のことですよね。

「資金繰り」の「繰り」は、「コントロールすること」です。

つまり、「資金繰り」とは、「お金をコントロールすること」になります。

 

「お金をコントロールする」とは、具体的にどういうことなのでしょうか?

 

例えばですが…

「定期的に通帳の残高を確認する」

たったこれだけでもお金をコントロールすることにつながります。

 

…資金繰りは売上が伸びれば勝手に良くなるんじゃないの?

 

売上が伸びても、資金繰りが悪化することはよくあることです。

下の表を見てください。

 

  仕入1 売上1 仕入2 売上2 仕入3 売上3
収入   200   600   1800
支出 100   300   900  
残高 -100 100 -200 400 -500 1300

 

売上は、200、600、1800と3倍のスピードで伸びているのがわかりますよね。

その一方で、仕入は、売上の半分なので利益率50%の超優良商品です ^^

会社設立直後でこの状況なら間違いなく安泰…と感じると思います。

 

ところが、「収入」から「支出」を引いた残高、つまり資金繰りを見ていくと、マイナスの幅もプラスの幅も大きくなっていますよね。

 

プラスが幅が大きくなり、一方ではマイナスの幅が大きくなっています。

これがいわゆる「経営リスク」にあたります。

 

以上が、「売り上げが伸びても資金繰りが悪化する」ことの説明になります。

 

資金繰りは何を見れば分かる?

 

答えは、「通帳」です。

 

「なんだそれ?!」

「通帳を見て資金繰りが良くなるんだったら苦労しないよ!」

と思いますか?

 

僕も多くの会社の帳簿を見て、経営コンサルティングを行ってきました。

 

でも、結局いくら会計の知識をもって経営者さんとお話ししていても、

こと「資金繰り」については「通帳」がすべてなのです。

 

すべては通帳から始まるのです。

 

…会社を経営していると、「うまい話」がゴロゴロころがっています。

「これさえやれば、経営が改善する。」

というような宣伝もいまだに多いですよね。

でも、本当に本当に経営においては「うまい話はない」のです。

 

だからこそ、

地道に通帳と向き合うことこそが、あなたの会社の資金繰りを改善する方法なのです。

会社設立直後、またはその前から、通帳としっかり向き合う習慣を身に付けておいてください。

 

資金繰りは、「通帳」から始まります。

という話でした。

 

資金繰りをほっておくとどうなる?

 

資金繰りをコントロールできないままほっておくと、「継続は力なり」の逆をやることになります。

 

あなたが会社を設立して経営をしていく目的は何でしょうか。

あなたが「やりたい」サービスや商品を世の中に提供して、より社会の役に立つためではないでしょうか。

でも、「資金繰り」で悩むことによって、その本来の目的に投入されるはずのエネルギーや能力が削がれ、会社は次第に力を失っていくものです。

お金の残高があればビジネスを始めることはできます。

でもお金が続かなくては、遅かれ早かれビジネスを続けることはできなくなってしまいます。

 

資金繰りをほっておくと、ビジネスを続けることができなくなる、というお話でした。

 

資金繰りを改善する方法はあるの?

 

資金繰りの悩みは多くの経営者にとって根深い悩みとなっています。

でも、その根本的な原因を突き止めることができれば、解決することができるのです。

その解決策とは…

 

あなたの会社の今月の『運転資金』はいくらですか?

 

この質問に答えることができるようになることです。

実際、僕が自分で経営している会社でも、必要な運転資金は〇〇円です。

と答えることができるようになっています。

たまに分からなくなる時がありますが…(笑)

 

ちょっとわかりにくいと思うので車を例にとって説明しますね。

車を運転するときにガソリンを入れますよね。

「ガソリンが無くなりそうになってからガソリンスタンドに行く」

よりも、

「いつガソリンがなくなりそうか先に分かって、早めにガソリンスタンドに行く」

方が安全ですよね。

車を例にとると、このような説明になります。

 

会社の場合は、さらに複雑になって分かりにくくなります。

会社の場合、「必要なお金」が変動してしまいます。

これは、車に例えると、「ガソリンタンクの大きさが日によって違う」のと同じ状況と考えてください。

 

ですから、会社に必要なお金がいくらなのか、

つまり「運転資金」を少なくとも毎月チェックすることが資金繰りを根本的に改善する方法なのです。

運転資金を把握してはじめて、経営者と言えるということになります。

運転資金を把握するための方法についてはたくさんのやり方があるのでこのブログでどんどんご紹介していこうと思っています。

 

資金繰りを改善する4つの方法

 

資金繰りを改善するには、実は…次の4つの方法しかありません。

 

  1. 収入を多く
  2. 収入を早く
  3. 支出を少なく
  4. 支出を遅く

※実際には、「粗利を上げる」など、ビジネスモデル自体の改善という方法もありますが、ここでは省略します。

では、この4つの方法をより具体的に説明していきますね。

 

1.収入を多く

 

収入を多くするためには、具体的に何をすればいいでしょうか?

収入を多くするためには、売上を上げればいいというわけではありませんよね?

そこで、売り上げを上げる前と後にできることをまとめてみました。

 

 

まず、売り上げを上げる前にできることです。

「お客さんを厳選する。」

少なくとも、こういう人だけはお客さんにしない!という人を明確にしておきましょう。

例えば、平気で支払いが遅れる人などです。

 

これに関して、より効果的で具体的な行動としては

「信用を調査すること」

「与信枠を設定すること」

も考えられます。

 

会社設立直後の会社では特に、実際にはこの2つの方法が使えない業種や状況もあると思います。
それでも、

「着手金をもらう」

「前受制にする」

などのルールを徹底することはできるのではないでしょうか。

 

 

次に、売り上げを上げた後について

 

例えば、「支払期日に遅れたら、その日のうちに督促をする」

という方法があります。

これは当然のようですが、なかなかできている会社は少ないです。

 

どの方法を採用するにしても、やはりビジネスでは「基本的なこと」を徹底するということが求められているという事かもしれません。

 

2.収入を早く

 

ここはこだわってほしいところです。

 

会社を経営していると、あとで入金されるのならそれはそれでOK。という考え方になりがちです。

会社というのは、どうしても売り上げを「上げることだけ」に集中しがちだからです。

 

収入を早くする方法として

「前受制にする」

「請求書を可能な限り早く発行する」

「取引の開始にあたって営業保証金をもらうようにする」

などの方法があります。

もしあなたの会社で採用可能なものがあれば、ぜひ検討してみてください。

 

3.支出を少なく

 

これは、コストダウンとは少し意味合いが違います。

単なるコストダウンは、売り上げの減少にもつながります。

そこで考えられる方法が、

「見積もりをとる」

という方法です。

 

実際にすべての購入品を見積もりを取って購入している会社はないと思います。

逆に、ほとんど見積もりも取らずに、決まった業者から購入することにしている会社がほとんどです。

収入は同じなのに、これでは無駄に支出を増やしている、ということにもなりかねません。

 

4.支出を遅く

 

支出を遅くするというと、どんなイメージが沸くでしょうか?

「え?仕入先に支払いを待ってもらうってこと?」

そうではありません。

 

確かに、仕組みとしては仕入先から一時的にお金を借りる…そういうイメージになります。

でも、いったん約束した支払期日を無視してしまっては、信用が無くなってしまいます。

そうではなく、支払方法の変更を「交渉」してください。

すべては交渉しなければわかりませんよね。

このように、支払方法の変更というのは、意外とできるということをまずは知ってください。

 

ぜひ、仕入先と(前向きに)交渉しましょう!

 

今回のまとめ

 

お金の流れを「通帳」で見るクセを付けましょう。

そして、「通帳」からお金の流れを理解して、「改善できる方法がある」ということを理解してみてくださいね。

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    大山 俊郎

    大山俊郎税理士事務所代表税理士

    同志社大学商学部卒業後
    父が経営する年商50億の会社へ入社

    二代目経営者として
    現場での下積みから
    会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事

    特に
    ・銀行との交渉
    ・経理の改善
    ・資金繰り
    ・事業承継の対策
    などに尽力

    ある親族との同族問題で自社の株式
    を売却をした経験から
    「会社のヒト・モノ・カネの管理は
    会社と経営者一族の運命を左右する」
    ことを痛感

    日本随一の
    「同族会社経営を経験した税理士」
    として事務所を開設し
    「会社にお金を残す節税マニュアル」
    を開発
    全国の同族会社の経営者・法人経営者
    向けに「会社を強くする仕組み作り」
    を指導

    大山俊郎のプロフィール

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