【受取手形の対処法】資金繰りに困らない方法とは?

 

税理士 大山俊郎


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受取手形は、振り出す側からは支払を先延ばしにできて便利ですが、反面、受け取るほうからは資金繰りにおいてリスクになることがあります。

 

今回は、受取手形特有のリスクから、各シーンにおける手形の会計処理方法、さらに資金繰りの対処法について解説していきます。

 

受取手形のリスク

 

手形は、振り出す側からは、支払期日を先延ばしにできるというメリットがあります。反面、受け取る側は、事実上の支払日である手形期日(満期)まで、お金を得ることができません。

 

似て非なるものに、売掛金があります。これは、たとえば取引先に商品を売ったけれど、まだ支払われていないお金のことです。そして、これを手形で行っているのが、受取手形だというわけです※1。

 

売掛金の場合、支払期日に関しては、手形よりは受取側のリスクが少ないことが多いです。手形取引のほうが代金受取までの期間が長く取られる傾向が強いからです。

 

売掛金と手形の支払いまでの流れ

 

売掛金の場合、以下のステップを踏みます。

①請求
②入金

 

非常に単純です。請求をしてから、入金までの期間を見れば良いだけです。以下に手形の場合をみていきます。

 

①請求
②支払に代えた手形の振出
③手形期日(満期)

 

このように、ステップが増えます。請求から売掛金の支払日にあたるときに、手形が振り出されます。さらにここから、満期まで間がありますから、実際にお金を回収するのに時間がかかります。

 

仮に支払まで1ヶ月、満期までが3ヶ月だとしたら、売掛金なら1ヶ月待てば良いですが、手形だと4ヶ月は資金に充当できません。

 

会社経営においてリスクになりやすいのが、手形取引です。

 

手形の利用者は減少傾向

 

こういった理由もあって、昔は主流だった手形取引も、今では6割以上の事業者が利用しなくなっています。

 

それでもまだ完全になくなったわけではありません。

 

特に納期をしっかりと守った下請業者が、すぐに現金化できずに割を食うことが多いです。後述する手形割引で回収することはできますが、それでも割引分は自己負担となります。

 

そこで、経済産業省は、下請業者との取引にあたっては、できるかぎり現金払いとすること、さらに手形を振り出すときは、あらかじめ割引分を補償しておくことを公示しています※2。

 

※1 参考:「1秒!」で財務諸表を読む方法(企業分析編) 著者: 小宮一慶 https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C1%E7%A7%92-%E3%80%8D%E3%81%A7%E8%B2%A1%E5%8B%99%E8%AB%B8%E8%A1%A8%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%82%80%E6%96%B9%E6%B3%95-%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%88%86%E6%9E%90%E7%B7%A8-%E5%B0%8F%E5%AE%AE-%E4%B8%80%E6%85%B6/dp/4492602011

※2 参考:経済産業省 「え? まだ手形で支払ってるんですか?!」 https://www.meti.go.jp/main/60sec/2016/20161219001.html

 

受取手形の計上方法

 

実際に手形を受け取った場合の会計処理方法について、シーン別に紹介していきます。

 

手形を受け取った場合

 

取引先に10万円の商品を売って手形を受け取った場合の仕訳が以下になります。

借方    金額     貸方  金額
受取手形  100,000円   売上  100,000円

 

期日どおり普通口座に入金された場合

 

流動資産計上の受取手形を消して普通預金とします。

 

手形を決済する場合、期日に銀行に依頼するのでは遅いです。期日前に銀行に取立てを申請しておかなければなりません。

借方   金額       貸方   金額
普通預金 100,000円   受取手形 100,000円

 

期日前に手形を割り引いた場合

 

資金繰りの問題から、後述する対策の1つとして、期日前に銀行に買い取ってもらうことがあります。このとき、額面どおりに買われることはなく、利息や手数料が割り引かれます。

 

仮に10万円の手形を銀行で買い取り依頼したとき、1万円が割り引かれたとします。そうすると、残りの9万円を普通預金として計上します。

借方      金額     貸方   金額
普通預金    90,000円   受取手形 100,000円

手形売却損 10,000円

 

割り引かれた1万円は、売却損として計上します。

 

期日前に手形を裏書譲渡した場合

 

やはり資金繰りの関係から、期日前に資金を回収したいとき、後述する裏書譲渡を利用することがあります。仮に自社が負担する債務の支払いに代えて、手形を裏書譲渡したとすると、以下のようになります。

借方  金額    貸方  金額
仕入 100,000円   受取手形 100,000円

流動資産として計上されていた受取手形を消します。

 

受取手形リスクの対処方法

 

この項目では、資金繰りの問題から、満期まで待たずに手形金を回収したい場合に、取りうる施策を3つ紹介します。

 

金融機関からの借入

 

特に低金利であれば、最もコストをかけずに資金を得られます。手形期日までの期間という限定付きですから、借入難度は比較的に少なく、金利も低く抑えられる傾向があります。

 

ただし、もちろん金利が高いところだと負担が増えますし、低くてもノーリスクではありませんから、あらかじめ損失分は計上しておく必要があります。

 

手形割引を利用

 

これまで触れてきたように、銀行へ手形の買取を依頼して手数料などが割り引かれる、という方法で対処することも多く行われています。

 

手形の割引料は、金利と同じだと考えることができます。そのため、手形期日までの期間が長いほど高くなることに注意しなければなりません。

 

 裏書譲渡をする

 

自社が債務を負担している会社に、その支払に代えて手形を譲渡する手段もよく用いられます。自社が手形を失う代わりに、その手形相当の債務もなくなるということで、実益があります。

 

ただし、この裏書譲渡が実は最もリスクが高いです。というのも、手形法で裏書人は、振出人とともに手形金を保証する立場に置かれているからです。

 

裏書人は手形債務を保証する立場

通常の金銭債務の保証人とパラレルに考えることができます。つまり、受取手形の振出人が倒産してしまったような場合、その責任を自社が負担することになります。

 

もちろん、振出人に資力があれば、手形の所持人に自分に請求してこないで、と主張できますが、無資力になれば手形債務を負担しなければならなくなります。

 

裏書譲渡の際には、このリスクについて前もって充分に認識しておくことが重要です。

 

 

受取手形のリスクと対処法について【まとめ】

 

手形は振り出す側にとっては便利なものですが、こと受け取る側になると、資金の回収が遅れて経営状況が悪化するリスクを持ち合わせています。

 

それ故に利用する会社は少なくなっていますが、それでもなお存在しているのも事実です。やむなく利用する場合には、なるべく手形期日を長くしないことと、相手方の信用調査が大事です。

 

しかしリスクが顕在化したときには、上記のような金融機関からの借入、手形割引、裏書譲渡といった手段のうち、最も安全だと思えるものをそれこそ手形期日や手形金額、利息、相手方の信用度などに照らして判断していくことが大切です。

 

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