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【消費税増税対策】建設業の給料を何とか外注費にできない?

大山 俊郎
監修者 大山 俊郎

大山俊郎税理士事務所 代表 大山俊郎(おおやま としろう)

光熱費や人件費高騰による大幅なコストアップ・・・
しかし、中小企業の多くはコストアップを販売価格に反映できず苦しんでいます。「薄利多売」の時代は終わり、中小企業でも「値上げ」が必須の時代になりました。
この時代を勝ち抜くために、弊所独自の「強み集中」利益最大化経営計画を通して中小企業の支援を行っています。

代表的な著書は「SWOT分析を活用した【根拠ある経営計画書】事例集」。

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大阪谷町の税理士、大山俊郎です。

 

この記事は、建設業の社員に対するお給料を外注費にして経費にできないのか?についての記事です。

 

建設業の経営者の方で、消費税をどうやって節税しようかと考えている人にとっては、この問題が頭を悩ませる原因ですよね。

 

そこで、外注費にする方法が無いか?についてまとめました。

 

この記事を読んで、消費税の増税対策をしてくださいね。

 

【消費税増税対策】経営者にとって外注費って何でしょうか?

 

建設業では、外注業者との連携によって発生する外注費は、避けることができません。

 

一方で、一人親方などについても、現場に出る以上社会保険に加入していないといけないという、「社会保険加入の義務化」がどんどん進んでいます。

 

とは言え実際には、コスト削減の目的から事実上の「社員」を「個人事業主」として独立させ、「外注」として契約する対策をしている会社もあると思います。これは、本来外注ではないものを外注扱いにすることで、消費税や社会保険料を削減するためです。

 

でも、このような形だけの「社員の外注化」を安易にしてしまうと、経営者と一人親方両方にとって大きなリスクになります。

 

「外注費」として処理することの意味は?

 

実際には社員であるという事実を曲げて、外注とすることにより問題となりやすいのが次のようなケースです。

 

業務中や現場までの移動中にケガをした場合や、会社から一方的に契約を解除されたような場合です。外注としてお互いに合意していたとしても「実態は社員扱いだった」として申し出が行われることがあり、社員だったと認められれば労働者災害補償保険の適用を受けることとなります。簡単に言うと、保険金をもらうためだけに嘘をつくケースです。

このようなことをしてしまうと、場合によっては、詐欺行為として会社の責任が問われることがあります。

 

さらに、税務調査の結果によっては、源泉所得税・消費税の納税や罰金(重加算税)が発生する可能性もあります。税務調査では、形式的には請負契約を締結していても、その実態は「社員」であると判断される場合があるのです。

 

つまり、一方では社員として労災保険をもらい、もう一方では外注として税金を節約するという「都合のいい使い分け」はできない、ということになります。実態と異なる外注化は、一時的には支払う税金を削減できるかもしれませんが、予期せぬ支出が発生するリスクがあるのです。

 

では、実際に税金面から外注費を給与認定された場合どのような事態が生じるのか見ていきたいと思います。

 

【消費税増税対策】外注費として処理することの税金計算上のリスク(経営リスク)

 

「外注費は給与と同じでしょ?」と考えられがちです。

 

でも、実際には選択を間違えると、「源泉徴収もれ」、消費税が原則課税であれば「仕入税額控除過大」のように税務上大きな問題になりかねません。
外注費が否認され、給与であると税務調査で判断されますと、たとえ1年間で大きな金額(月給50万円であれば約150万円。計算過程は割愛)の納税になります。さらには、社会保険の加入について指摘される可能性もあります。

このように両者の区分は非常に難しいですが、実際にはどのように考えていけばいいのでしょうか。まずは、給与と外注費の違いについてご説明していきます。

 

【消費税増税対策】給与か外注費か、結局どうやって判断したらいいの?

 

結論としては、「こういう場合は絶対外注費、こういう場合は絶対給与」というようなことは言えません。

 

なので、税務調査が入るとヒヤヒヤすることになります。じゃあ結局どうしたらいいのでしょうか。

ここで出てくるのが「判例」です。過去の裁判です。

 

税金の計算は、税法という法律で決められていて、法律だけで解決できない争いは、裁判で決着をつけるのが日本の法律です。

ですから、判断が難しいことについては、今までの判例を参考にします。

 

今までの判例のポイントを挙げると…

  • 給与は、雇用契約に基づくもの
  • 外注費は、請負契約に基づくもの

 

この考え方がすべての根本にあります。

 

たとえば、一人親方を常用している場合でも、雇用契約を結んでいる場合には給与として扱われる場合もあります。一方、「請負契約に基づく」と扱われる事業者は、「自己の計算において独立して事業を営んでいる者」をいいます。

 

では、「独立して事業を営んでいる」という部分はどのように判断するのでしょうか?

 

1.サービスの内容が、その一人親方(Aさん)でなくてもできるか。

その一人親方(Aさん)でなくてもできる仕事であれば、外注費に傾きます。

外注ということであれば、Aさんに外注できなくてもBさんに依頼しても業務ができるということになります。

 

2.業務の遂行にあたって、発注者の指揮命令を受けるかどうか。

一人親方が指揮命令を受けずに独立して業務を行っているのであれば、外注費としての性格が強くなります。

 

3.まだ引渡しを了しない完成品が災害などの不可抗力のため滅失した場合等においても、個人が権利として既に完了した業務について報酬を請求することができるかどうか。

 

例えば、A社がBさんに工事を依頼し、Bさんが災害などで依頼された業務を完了できず、引き渡せなくなってしまった場合(民法でいう「危険負担」の状況)に、Bさんが独立して事業を営んでいるのであれば、BさんはA社に報酬を請求できません。

 

これは、成果を出すことを約束した請負契約だからです。この場合には外注費としての性格が強くなります。
一方、Bさんが社員のような立場だと、働いた分の報酬は請求することができますので、この場合には給与の側に傾きます。

 

4.業務に必要な材料や道具を与えられているか

 

業務にあたっての材料や道具を一人親方自身で常に用意していれば、外注費の側に傾きます。

 

実際に処理する場合に重要な点は?

 

事実の通りに経理を行っていれば、理屈上は問題ないはずなのですが、外注費ならば天引きが必要ありません。

 

つまり、「一見」ですが、社員さん(?)に渡す、お給料(?)の手取り金額が大きくなります。

 

(原則課税であれば)課税売上分の消費税額から外注にかかる消費税額を控除することができます。一方で、給与だと、源泉徴収が必要な上、消費税を控除することもできなくなります。

 

このような異なる取り扱いがなされている以上、外注費として計上するためにはその事実関係を整理しておくことが重要になってきます。

 

外注費の要件を満たしていなくても、直ちに給与になるものではありませんし、満たしたからといって、絶対に否認されないというものではありません。

 

外注費と給与の区別は、個々の納税者(一人親方など)ごとの状況に応じた判断が必要となります。

 

社員とは区別し、社員ではなく事業者として取扱うことが、全体を通して外注費として認められるための基本的な考え方です。

 

※事業者として取り扱うには、請負契約書の作成や、労災保険などのように本人が負担すべきものを本人に負担させるようにするなどの方法があります。
それぞれの契約の実態に応じて処理するようにしてください。

 

・・・それでも「社員になりたくない!」と言われたら?

 

もし、契約の実態が間違いなく雇用契約(社員)だとします。

それでも、一人親方から「いやだ!社員にはなりたくない。」という意見が出ることがあります。

 

なぜ、社員になりたくない!というのかというと、「手取りが減るから」というのがよくある理由です。実は、「手取りが減るから」というのは理屈が通っていません。

 

なぜなら、給与を支給する側が外注費として処理しても、給与として処理しても、一人親方にとってはどちらも「税金がかかる収入」です。

 

それを「手取りが減る」から社員になりたくないということは、税金の申告をそもそも自分でやっていないということなのです。つまりその一人親方は脱税している「可能性」があります。

 

もし脱税しているのであれば、いつまでも見逃してもらえるものではありません。脱税がバレたら、重加算税という罰金付きで過去に遡って支払う義務が生じます。

 

ですから、この「外注費か給与か」の問題は、一人親方にとっても、いつまでも放っておいていい問題ではないのです。

 

弊所では、このようなケースについて解決してきた経験があります。

 

あなたの会社は大丈夫でしょうか?

 

社員さんが「俺は外注のままでいい!」と言い始めたら、早めにお問い合わせください。

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    大山 俊郎

    大山俊郎税理士事務所代表税理士

    同志社大学商学部卒業後
    父が経営する年商50億の会社へ入社

    二代目経営者として
    現場での下積みから
    会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事

    特に
    ・銀行との交渉
    ・経理の改善
    ・資金繰り
    ・事業承継の対策
    などに尽力

    ある親族との同族問題で自社の株式
    を売却をした経験から
    「会社のヒト・モノ・カネの管理は
    会社と経営者一族の運命を左右する」
    ことを痛感

    日本随一の
    「同族会社経営を経験した税理士」
    として事務所を開設し
    「会社にお金を残す節税マニュアル」
    を開発
    全国の同族会社の経営者・法人経営者
    向けに「会社を強くする仕組み作り」
    を指導

    大山俊郎のプロフィール

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