合同会社と株式会社、どんな違いがあるの?【大阪谷町の税理士が解説】
株式会社がいいのか?合同会社でもいいのか?
これから会社を設立しようとお考えの方にとって、気になるテーマではないでしょうか?
この記事では、
- 合同会社ってなんなの?
- 合同会社と株式会社の違いはなにか?メリットは?
- 合同会社のデメリットは?
- 大山が合同会社よりも株式会社をおすすめする理由
について、ご説明します。
合同会社って何?株式会社との違いは?会社設立の種類とあわせて解説
↑
イチロー君:35歳経営コンサルタント。妻と3歳になる子どもがいる。
「イチローコンサルティング株式会社」という会社を設立したばかり!
そもそも合同会社って、何でしょう?よくわからないんですよ。
他にも会社ってする種類がありますよね?
それと比べてどうなのか知りたいです。
わかりました!少々お待ちくださいね。
・
・
・
説明しよう!!!!!
税理士 大山俊郎は説明モードになるとついつい熱が入りすぎてしまうために「スーパー税理マンTOSHIRO」にモードチェンジするのである!!!!!
現行の制度で会社を設立するなら、種類は4つ。
- 株式会社
- 合同会社
- 合資会社
- 合名会社
ただし、合資会社、合名会社は責任が重たい(無限責任)から、実際には採用する人はほとんどおらへんよ。
というわけで、会社を新たに設立するならば、株式会社か合同会社のどっちかになる。
あれ?そういえば「有限会社」ってないんですが?
ええ質問やね!
有限会社は平成18年の会社法の改正で、廃止されてん。
もちろんこれ以前からの有限会社はそのままでええけど、ここから新たに有限会社をつくることはできなくなった。
廃止の理由としては、簡単に言えば株式会社との違いがあまりなくて、選ぶメリットが少ないからということかな。
へー。そうなんですね。
次に本題の合同会社についてやね。
合同会社は、平成18年の会社法改正によって誕生した会社なんや。
合同会社は一言で言えば、”株式会社よりも手軽でスピーディーに作れる会社”、というイメージかな。
そうなんですね。すごいいいじゃないですか!株式会社よりよさそう。
いや、一概にそうとも言われへんねん。
合同会社が悪いっていうわけやないけど、これから会社を作る人は、ここのところ慎重に考えて欲しいなぁ。
ちなみに「合同会社」という発想は、アメリカの制度を真似ているよ。
法人を作る際の敷居を少しでも下げたいという思惑が国にはあるってことやね。
へー、親切ですね。
うーん。そうとも言えるし、
- 国の政策として法人を増やしたい
- お金を公私混同されたくない
- 結果的に税務調査できる先が増える
という思惑もあるようにもみえるかな…
とはいえ、この制度を利用する人は年々増えてるよ。
このグラフを見て欲しい。
これは合同会社と株式会社の設立件数の推移を表してるグラフ。
(法務省・登記統計より、大山俊郎税理士事務所で作図)
な、右肩上がりに増えてるやろ。
数としては依然として株式会社が多いものの、合同会社を選ぶ会社が急増していることが読み取れる。
【合同会社と株式会社を比べてみた】違いは何か?メリットは?
- 合同会社は4つある会社の形態のうちの1つ
- H18年からできた新しい制度
- 合同会社を選択する法人が増えてきている
ということは、よくわかりました!
じゃあズバリ、合同会社って株式会社と比べると何が違うんでしょう?
株式会社じゃなくて合同会社を選ぶメリットってなんなんでしょう?
ええ質問やね。
株式会社と比較して、合同会社のメリットは大きく2つあると思うよ。
- 会社設立のコスト
- 会社組織
1つずつ説明しよう。
合同会社は株式会社よりも、会社設立にかかるコストが少なくて済む
株式会社を設立するなら、だいたい26万円前後は費用がかかると思っておいた方がいいでしょう。
以下株式会社と合同会社を設立する場合の費用を比較してみました。
※定款はいずれも電子定款を利用したと仮定する。
※これらをの手続きを司法書士に依頼した場合は、プラス4〜5万円費用がかかる。
株式会社 | 合同 | |
定款の公証人認証手数料 | 50,000円 | 0円 (定款の認証を受けなくて良い) |
定款の収入印紙代 (電子定款の場合は不要なので0円) |
0円 | 0円 |
定款の謄本 | 2,000円程度 | 2,000円程度 |
登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
電子定款システム費用 | 3,000円程度 | 3,000円程度 |
会社の印鑑 | 10,000円~20,000円 | 10,000円~20,000円 |
印鑑証明書代 | 1,000円~2,000円程度 | 不要 |
合計 | 216,000円~227,000円程度 | 75,000円~85,000円程度 |
つまり合同会社設立にかかる費用はだいたい8万円程度だと思ってもらえればいい。
株式会社と合同会社の設立費用を比較した場合、約15万円程度合同会社の方がコストダウンできる。
なるほど。
この約15万円の差はどこから来るのでしょう?
合同会社にも株式会社と同様定款を作成する必要はある。
だけど合同会社の場合、その定款を公証役場で認証してもらう必要がない。
だからその分の手数料が不要になるよ。
ちなみにこの定款。
作成するのがなかなか大変で、一人で経験のない人がやると公証役場での認証にかなりてこずるなんて話もよく聞く。だから定款を作る時間、修正する時間などもコストカットできるね。
それから登録免許税というものの合同会社は株式会社に比べて費用が安い。これもコストカットの要素やね。
定款認証手数料:株式会社は5万円、合同会社は0円
登録免許税:株式会社は15万円、合同会社は6万円
これが合同会社は株式会社にと比べて、15万円ほど安く会社設立できる内訳になる。
合同会社は”出資者=経営者”なので意思決定がスムーズ
株式会社というのは、
会社を経営する”経営者”と
会社にお金を出資してくれる”出資者”
これが必ずしも同一人物じゃなくていいのです。
個人で小規模ではじめた株式会社なら、株主は経営者とイコールである場合が多いかもしれない。
しかし大企業を思い浮かべて見てほしい。
「株主」がたくさんいる。彼らは出資者ではあるけど、経営者でない。
もちろん経営の方針に対して意見をいう権利はありますが、直接経営するわけではないんや。
これに対して合同会社は、”出資者”と”経営者”が必ずイコールなんや。
よく株主総会で株主が許さないとか、株主が賛成してくれないと経営上の大きな決断ができないのが株式会社。
しかし合同会社は出資している人が必ず経営もかねるので、出資者と経営者との間で会社の経営に関する意思決定がスムーズと言える。
【株式会社との違い】会社設立を合同会社でする場合のデメリットは?
合同会社には、デメリットも存在します。
- 株式会社に比べると信用が落ちる
- 「名ばかり取締役」が通用しない
これも1つずつ説明しよう。
株式会社に比べると信用が落ちる
業種にもよりますが、株式会社でないと取引しないという上場企業もあります。
例えば鉄工関係とか大手企業なら、取引先にも財務基盤とか経営の安定を求めます。
全てにおいてそうとは限りませんが、やはり株式会社に比べれば合同会社は信用という点において少々落ちるというのは事実です。
名ばかり取締役が通用しない
例えば、社長のおばあちゃんを会社の役員にして役員報酬をあげたい。
こういう話はよくあります。
株式会社であれば別に経営に関してなにもしなくたって最初に出資してくれれば、こういう名ばかり取締役だって問題ありません。だって「取締役」という責任ある役職についてくれていますからね。
でも合同会社だとちょっと違ってきます。
出資者=経営者ですから。
先ほどの例だと、出資してもらった以上経営にも関わってもらわなくてはいけません。
だからいわゆる「名ばかり取締役」みたいなことは、合同会社においてはできないと思っておいてください。
私が会社を設立するなら合同会社よりも株式会社をおすすめする理由、違い
ここまでご説明したとおり、合同会社にはメリットもありますがデメリットも存在します。
新しくできた制度ですし、手軽さもあって合同会社が増えているようです。
ただ僕は断然株式会社をおすすめします。
やはり信用という点が大きいからです。
会社として成長していくのであれば、どうしても株式会社よりも信用が落ちます。
会社設立時にかかる費用は、確かに15万円前後合同会社の方が安いです。
でもよく考えてみてください。
会社を設立するのに15万円節約しないとやっていかれないのであれば、そもそもその段階で会社を設立すること自体が少々無謀な挑戦とも言えるかもしれません。
また事業のスタートアップ時は株主はほぼ社長である自分自身でしょうから、株式会社であっても出資者=経営者なので、だったらいっその事合同会社でもいいと思うかもしれません。
しかし今後事業を発展させる段階で、株主として出資してくれる人が現れるかもしれません。そういう可能性を最初から無くしてしまうのが、もったいないと僕は感じています。
それから、
ごく少数ですが株式会社でないと許認可が下りない事業もあります。
まとめ
合同会社について、株式会社と比較してご説明しました。
僕個人の意見としては、正直わざわざ合同会社にする必要性がある人っていないような気がします。
強いて言えば、例えば作家さんなど個人の名前で商売している人。
こういう人であれば信用もなにも、会社ではなく個人の名前や作品自体が信用なので合同会社にしたところでなんら不利益はないでしょう。
株式会社か?合同会社か?で迷った際にこの記事があなたがのお役に立てれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。

大山 俊郎
大山俊郎税理士事務所代表税理士
同志社大学商学部卒業後
父が経営する年商50億の会社へ入社
二代目経営者として
現場での下積みから
会社のヒト、モノ、カネ管理まで従事
特に
・銀行との交渉
・経理の改善
・資金繰り
・事業承継の対策
などに尽力
ある親族との同族問題で自社の株式
を売却をした経験から
「会社のヒト・モノ・カネの管理は
会社と経営者一族の運命を左右する」
ことを痛感
日本随一の
「同族会社経営を経験した税理士」
として事務所を開設し
「会社にお金を残す節税マニュアル」
を開発
全国の同族会社の経営者・法人経営者
向けに「会社を強くする仕組み作り」
を指導